雑筆36 不愉快なニュース⑦ 消費税と言う巨大利権

政治は政治家に任せておけば良いと考えていましたが、それは大きな間違いだと気づきました。最近は、ネットやTVerで、政治のニュースを見るようになりました。2022年の日本の自殺者数は21,881人です。前年に比べ874人(4.2%)増。男女別にみると、男性は13年ぶりの増加、女性は3年連続の増加となっています。若年層の自殺2020年の10~39歳の死因 順位の1位は自殺となっています。国際的にも、15~34歳の死因順位の1位が自殺となっているのはG7の中でも日本だけです。若者たちが、将来に希望が持てない国になっています。政府は、少子化に拍車がかかり、庶民が絶望から全員が自殺して、政治家と官僚とお金持ちと外国人だけの国にしたいのでしょうか。

・10/24 WBS(ワールドビジネスサテライト)「岸田総理が生出演 所得税減税の規模は?期間は?生活どうなる?」を見ました。びっくりするほど内容が薄かったです。あらかじめ質問内容は知らされていたはずですから、官僚の書いた回答を丸暗記しただけで必死に原稿を見ていましたが、それでもしどろもどろでした。自分でも何を言っているか理解していない印象です。相変わらず何の具体策もなかったです。主な発言は

・「国民への還元」で所得税減税とガソリン補助金の延長 ・「供給量の強化」で投資と中小企業、DX、省力化への補助でした。番組の街角調査で、「所得税減税は、賛成か反対か」を聞いていました。そんな質問で「反対」の意見は出ません。所得税減税に関しては「国民に分かりやすい方法で還元」と「デフレからの脱却」と「対策を組み合わせることにより来年につなげていく」ばかりを繰り返して強調していました。「2022年の税収、71.1兆円の増収分の6兆円ではなく、所得税の増収分の2年分の還元ですか?」との質問には、答えられていません。調べると2020年所得税の税収19.2兆円から2021年は2.2兆円、2022年は3.3兆円が増えているので、その分の2年分を還元するという意味です。それなら当然です。恩に着せられても。政府は所得減税などを柱とする17兆円規模の経済対策と言っていますが、そのうち所得減税分は5兆円です。国民への還元は、「所得税減税1年」「ガソリンの補助金は2024/3/31までです。メインは大企業優遇の「投資」になるのでしょう。

・「円安の150円の推移についてどう思うか?物価高の要因の一つは、日銀の金融政策で金利を低く抑えていることが原因。何か対策を考える時期に来ているのでは」の質問に対しては、「私がどうのこうの言うのは控えなければならないが、安定的に推移するのが望ましい。いずれにしても円高 金融政策の正常化 政府と日銀が連携をしながら政策を進めていく。成長と雲梯的な物価高を目指して、それぞれが努力していく。連携は重要」。「日本の潜在的成長率0.5%に低下、世界は1.0%。どのぐらいを目指すのか?」の質問には「世界の数字を見ながら日本の数字も上げていかなければならない。」と相変わらずの意味不明です。(日銀の為替の介入は、海外では口先ばかりだと見抜かれています。年末にかけて、155円までになる予想もあります。)

「ライドシェア」についての質問もありました。タクシー業界は反発しています。岸田総首相は必死に原稿を確認しながら答えていました。「私が中心になって河野デジタル大臣に、日本に会った制度を早急に検討してもらいたい。」と言っていましたが、そもそも庶民はそんなことを望んでいるのでしょうか。「規制緩和の一環」だと言いたいのでしょうが、私には「インボイス制度」同様に「中小企業いじめ」にしか見えません。「タクシー業界」は、たいした献金先にも天下り先にもなっていないでしょうから。岸田首相は、所信表明で、「ライドシェア導入」の理由として「担い手不足」に加えて「移動の足の不足」、すなわち「タクシー不足」が挙げられていますが、これは多くの場合、単なる「デマ」です。メディア等ではしばしば、京都駅のタクシー待ちの長蛇の列が紹介され「タクシー不足が深刻だ」と報道されていますが、こういう現象は、ごく一部の現象です。確かに私の出張先でも、都内でも、駅前には「客待ちのタクシー」がたくさん並んでいます。必要なら、今の時代は、ネットでタクシーを予約できます。岸田総理は「ライドシェア導入」で「乗車料金の下落」も言っていますが、結果、タクシードライバーの収入が減り、「賃金が下落」します。マスコミには「賃上げを促進する!」と言っていますが、これでは言ってる事とやってる事が正反対です。人手不足なら、むしろ「人件費の値上げ」を考えるべきです。ネットでは「岸田首相はこれまで、防衛政策でも経済政策でも、バイデン政権の言いなりに動いてきた。アメリカからは、ずっと規制緩和しろという圧力をかけられている。ライドシェアを解禁することで外資に参入の道を開き、バイデン政権のご機嫌を取りたいという思惑もあるのでは」。「竹中氏はいわば規制緩和派のドンです。ライドシェアが導入されれば、Uber社など米国資本に加え、規制緩和で急成長したパソナなど国内の人材派遣業界が参入する可能性は充分にある」との分析もあります「外資は、日本のタクシー業界の1兆円の売り上げを狙っている」との記事もあります。過疎地などの人手不足などの限定使用ならいいと思います。すでに実現している地域もあります。世界の情勢は「アメリカでは、一部の州で米配車サービス大手のUber社などが参入し、ライドシェアが進んでいる。しかし、ドイツやフランス、イギリスなど欧州では、どこも禁止。安易に導入すると、性犯罪等が多発しかねないと懸念されているから」と書いてあります。日本国民より「米国」が大事な政権です。

解散の時期については「いつ考えているのか」と「来年9月の総裁選まで先送りの選択」のストレートな質問がありました。「今月末に経済退散をまとめる。補正予算ができたら国会に提出、成立。まずはそれに専念。解散は、今現在は考えていない。来年のことに関しても今は考えていない。」と相変わらずあいまいな回答をしています。「予算が成立したら解散する気満々」の印象を受けました。岸田首相が発表した経済政策は、低所得者にはこれまでの支援と合わせて世帯で計10万円の給付を実施、それ以外は1人につき所得税3万円、住民税1万円の計4万円の減税を行うというものです。この給付と減税の間にあるのは金額の差だけではない。実施時期は、給付は年内に開始する一方で、減税は来年6月に行われる予定です。年末の解散を考えて、高齢者への給付を優先したとも考えられます。12/12解散、12/24選挙の予想もあります。

・財務省は、岸田氏なら簡単に操り人形になると思っていたのでしょうが、勝手な私見ですが「予想以上に頭が悪い」ので、裏で財務省が操っていることが、あまりにも見え見えで困っているのではないでしょうか。見切りをつけられる可能性もあります。岸田総理のインタビューの後の、その他のニュースで「木原誠二氏の妻X子さんの元夫・安田種雄さんの遺族がついに刑事告訴へ!」。告訴人は安田さんの父母、姉2人の4人で、告訴趣旨は「被疑者不詳の殺人」です。告訴状は、事件発生当初の捜査を担当した警視庁大塚署に提出され受理されました。が流れました。木原氏は、元財務官僚。自由民主党所属の衆議院議員、自由民主党幹事長代理兼政務調査会長特別補佐です。疑惑のデパート。影の総理ともいわれています。このニュースの感想も岸田総理に聞いてもらいたかったですが、同じ日の番組で、取り上げただけでも「テレ東」の勇気は評価できます。

・2019年大村大次郎著書「消費税と言う巨大利権」(朝日新聞、トヨタ、経団連、財務省などの増税で潤うやつらの正体。2019年秋、日本経済は大失速する。消費税は社会保障費に使われていない驚愕の真実!この国はもう終わった)を読みました。大村氏は、元国税調査官で10年間法人税担当官として勤務しています。2019年の本ですが、今の状況にも当てはまります。消費税が日本を滅ぼす。そもそも消費税は一部の企業の利益誘導に過ぎない。消費税は決して、少子高齢化社会の対策などには使われていない。と書いてあります。本書では業界の代表的な企業を取り上げてデータに基づいて検証しています。

第1章: 「消費税は公平な税金」という大ウソ。日本国民の「消費」は、バブル崩壊以降ずっと下がり続けてきた。総務省の「家計調査」によると2002年は一世帯当たりの家計消費は、320万円を超えていたが、2018年は、290万円ちょっと ( 2022年282万円) 。この細っていくばかりの「国民の消費」に税金をかければ、国民の生活は苦しくなり、景気は低迷する。一方で、日本企業はバブル以降に内部留保金を倍増させ、446兆円に達している。また、近年、日本の億万長者の数は激増。2017年の金融グループクレディ・スイスの発表では、日本で100万ドル以上の資産を持っている人は、282万6000人。前年より74万人近く増加。増加率は世界一。細っていくばかりの国民全体の消費に税金をかけるべきか、世界で稀に見るほど資産を膨張させている企業や富裕層に税金をかけるべきか一目瞭然であろう。

・「社会保障のため消費税は不可欠というウソ」: 消費税が創設されたとき、財務省は「少子高齢化のため、社会保障費が増大する。そのため、消費税が不可欠」と喧伝してきた。しかし実際、消費税は、社会保障費などにはほとんど使われていない。大企業や高額所得者の減税の穴埋めに使われた。国が公表しているデータから明確に分かる。消費税が導入された1989年。その直後に法人税と所得税が下げられた。消費税が3%から5%に引き上げられた1997年も、その直後に法人税と所得税が下げられた。1991年の所得税の税収は、26.7兆円以上。しかし2018年には19兆円。法人税は1989年には19兆円。しかし2018年には12兆円。この30年間で、所得税と法人税の税収は、14.7兆円減っている。一方、2018年の消費税の税収は17.6兆円。つまり消費税の大半は、所得税と法人税の減税分の穴埋めに使われている。消費税で新たに使えるようになった財源は、わずか3兆円に過ぎない。法人税と高額所得者の所得税を下げるため「消費税は社会保障のために必要」という詭弁を用いた。(国税庁レポートによると2020年の所得税と法人税と消費税は、19.5兆円と12.1兆円と21.7兆円です。消費税だけが増えています)

・「社会保障費が財政を圧迫しているというウソ」: 財務省は「高齢化社会を迎え、社会保障関連費が増大したため、赤字国債が増えた」と喧伝し、大手新聞社やマスコミも、これを大々的に吹聴してきた。これも真っ赤なウソである。日本の財政は、1990年代初頭まで非常に安定していた。1988年には、財政赤字を減らすことに成功している。1990年代には財政赤字は、100兆円を切っていた。だが、バブル崩壊以降の90年代には赤字は急増し、2000年には、350兆円、2010年には650兆円、2018年には850兆円を超えている。赤字国債が急増した1990年代の社会保障関連費は、毎年15兆円前後しかなく、当時の税収は50兆円前後だったので、15兆円程度の社会保障費は全く問題なく賄えた。では、なぜ90年代で財政赤字が増大したか。その答えは「公共事業」である。1990年代、日本は経済再生のためと称して狂ったように公共事業を行った。1年あたり63兆円。その額630兆円。このバカ高い公共事業費630兆円がそのまま財政赤字となった。「財政赤字の原因は社会保障費」などと財務官僚と大手新聞社は吹聴してきた。

・「日本の金持ちは税金が高いのはウソ」: 「日本の金持ちの税金は元が高いのだから、減税してもいいはず」。これも真っ赤なウソ。確かに日本の富裕層の税金の「名目上の税率」は他の欧米諸国に比べて高くなっているが、日本の富裕層には様々な抜け穴があって、先進国でもっとも税金を払っていない。「主要国の個人所得税の実質負担率(対国民所得比)世界統計白書2012年版。・日本7. 2% ・アメリカ 12.2% ・イギリス13.5% ・ドイツ12.6% ・フランス10.2%。これは国民所得に対する個人の所得税負担率を示したものである。個人所得は、先進国ではその大半を高額所得者が負担している。全体の所得税が低いということは、すなわち「高額所得者の負担率が低い」と言うことを表している。つまり日本の金持ちは、先進国並みの税金を払っていない。そのしわ寄せが消費税。もし、日本の金持ちが先進国並みの税金を払えば、消費税の廃止さえ可能。日本の個人金融資産は1800兆円を超え、今なお激増している。(2022年2023兆円)この肥え太った金持ちに、ちゃんと税金を払ってもらうことが税制方針のはず。

・「日本は間接税の比率が低いのはウソ」: 「日本は間接税の比率が低い。日本も間接税の割合を増やすべき。」この論にも大きな欠陥がある。確かに日本の間接税はヨーロッパ諸国より低いが、日本の場合、公共料金やNHK受信料など「準税金」が非常に高く、高額の間接税をはらっているのと同じ状況になっている。各国の消費税率だけを比較しても意味がない。所得からずての税金などをひかれた後の残りの可処分所得がどれだけなるか。

・「消費税が格差社会を作った」: 消費税の最大の欠点は「貧しい人」ほど、収入に対する負担率が高くなる「逆進性」である。消費税導入以前は「一億総中流社会」と言われ、格差の少ない社会であった。税金の常識である「金持ちの負担を大きく、貧乏人の負担を小さく」に逆行している。貧乏人ほど収入に対する消費の比重が大きい。年収300万円の人は全部消費に使うので、消費税24万をはらえば、8%課税されている。年収1億の人が、2000万円消費し、8000万円を金融資産にまわしたばあい、所得に対する課税割合は、1.6%になる。消費税は、貯金と言う逃げ場のない人にかける税金である。税金には、本来、「所得の再配分機能」がある。経済社会の中で生じた様々な矛盾を是正する働きがある。消費税が税金の柱になれば、金持ちはどんどん金持ちになり、貧乏人はどんどん貧しくなる。

・「消費税を導入すれば必ず景気が冷え込む」: 消費が冷え込めば、景気が落ち込む。実際そうなってきた。消費税導入以来、ずっとその悪循環のむ繰り返しである。

・第2章「朝日新聞社が消費税推進派になったとんでもない理由」: 以前は「庶民の味方」を標榜していた朝日新聞社は、「増税前にすべきことがあるのではないか」として、「大企業や富裕層の増税」「歳出の削減を徹底的にやらなければ、消費税増税について国民の理解を得られるわけがない」との姿勢でした。その後、すっかり強硬な消費税の推進派になってしまいました。豹変した理由は、1.税申告において、度々国税から不正を指摘されており、当時も税務調査で多額の課税漏れを指摘されていた。2.朝日新聞は日本有数の大企業であり、役員や社員は「富裕層」である。消費税が上げられ、法人税や所得税が下げられれば大きなメリットがある。③.当時消費税の軽減税率品目が検討されており、新聞を軽減税率に入れてもらいたかった。欧州のほとんどは、新聞だけでなく、雑誌や書籍も軽減税率になっている。(多くのテレビ新聞のマスコミ各社は、営利企業です。広告宣伝費が、収入源です。大手スポンサーの意向には逆らえません。公平公正なニュースなどと言うものは幻想です。)

第3章「経団連の大罪」: 2018/10の消費税の増税に、経団連の会長のコメントは「社会保障制度の持続可能性の確保および財政健全化のため消費税の引き上げは不可欠である。」と声明を発表しています。経団連は2017年まで加盟企業に自民党への政治献金を呼びかけ。毎年20数億円の政治献金を行っている。経団連が消費税を激しく推奨してきた。

・「経団連の罪」: 経団連の主張は、「消費税を上げて、本陣税を下げよ」です。実際、法人税率は、1988年まで、43.3%が、2018年には、23.3%の約半減です。この30年間、国民は、消費税の創設や増税、社会保険料の値上げなど負担増に苦しんできた、一方、法人税は急激に下げられてきました。「社会保障費のために消費税は必要」は真っ赤なウソです。法人税は「儲かっている企業」の「儲かっている部分」に課せられる税金です。「消費税を上げて、法人税を下げる」と言うことは、「儲かっている企業の税負担を減らし、その分を国民に負担させる」と言うことです。

・「日本の法人税は世界的に高いという大ウソ」: 「日本の法人税は世界的に高い」と言われるが、現在、名目上の法人税は23.2%だが、研究開発制など様々な抜け穴があり、実際は17%程度で世界的に見ても高くない。「先進職区の中では日本企業の社会負担はかなり低い」。企業の税負担と言うのは、税と社会保険料の合算で考えた場合、負担率は、フランス、イタリア、ドイツよりもかなり低い。また、経団連はこの20年間、投資家の減税についても働きかけてきた。経団連の連中は、ほとんどが自社の大株主であり、大投資家である。つまり投資家の減税は、直接的に大きな利益を得られる。政治家もこの財界の要望に応えて、大幅に下げた。その結果、配当所得の税金は先進国で最も安い。配当所得に対する税金(財務省サイト) ・日本15.315% ・アメリカ0~20% ・イギリス10~37.5% ・ドイツ26.375% ・フランス15.5~60.5 %。投資家優遇として名高いアメリカと比べても安い。日本では、本来の所得の最高税率は45%だが、配当所得は分離課税になっているため、どんなに高額の配当があって15%で済む。配当所得は、「収入が高い人ほど税金が高くなる」という所得のルールから除外されている。

・「格差社会を招いた投資家優遇」。以前は累進課税制度になっていたが、2003年の税制改正で、所得税15%になった。株主優遇制度はそれだけにとどまらず、2002年に商法が改正され、企業は赤字でも配当できるようになった。それまでは各年の利益から配当が支払われるルールだったのだが、改正により、その年は赤字でも過去の利益を積み立てている会社は配当できるようになった。結果、上場企業の株主配当は激増した。・2005年4.6兆円 ・2007年7.2兆円 ・2009年5.5兆円(リーマンショック) ・2012年7.0兆円 ・2015年10.4兆円 ・2017年12.8兆円。(2023年13.93兆円)。世界的な金融グループのクレディ・スイスが発表した「2016年グローバル・ウェルス・レポート」によると、100万ドル以上の資産を持っている人は、日本人は、282万6000人。前年より74万人増加、増加率は世界一だった。一方、この間のサラリーマンの平均給与は、まったく上がっていない。(国税庁統計)・2005年437万円 ・2007年437万円 ・2009年406万円 ・2012年408万円 ・2015年420万円 ・2017年432万円 ( 2022年の平均年収は、2021年から変わらず403万円)。こんなに分かりやすい「金持ち優遇政策」はない。

「日本を貧困化させた経団連」。1995年経団連は「新時代の日本的経営」として「不景気を乗り切るために雇用の流動化」を提唱した。「雇用の流動化」と言うと聞こえがいいが、要は「いつでも正社員の首を切れて、賃金の安い正社員を増やせる雇用ルールにして人件費を抑制する」ということ。これに対して政府は、1999年に労働派遣法を改正。それまで26業種に限定されていた派遣可能労働加納業種を一部の業務を除外して全面解禁。2004年の改正では、除外となっていた製造業でも解禁。ほとんど全ての産業で派遣労働を可能にした。90年半ばは20%程度だった非正規雇用の割合が、98年から急増し2018年には35%を超えている。(総務省の調査によると2022年の非正規雇用者の割合は36.9%となっており、約4割が非正規雇用者)。企業は、非正規雇用の増加だけでなく、正社員の賃金も下げてきた。この20年間で、OECDの統計によると、先進国はどこの国も給料は上がっている。ECやアメリカでは、20年前と比べて、平均収入が30ポイント以上がっている。日本だけが20ポイント下がっている。欧米と比べて相対的に50ポイント以上給料が低い。

「消費税は少子化の一因」消費税と言うのは「消費が多い世帯ほど」収入に対する負担割合が大きくなる。どういう世帯の消費が多いかと言うと「子育てをしている世帯」です。「児童手当を支給しているから軽くなったはず」と言うのは詭弁です。児童手当は1人当たり1万円、年に12万円程度。(2022年子ども1人につき、3歳未満には月額15,000円、3歳以上から中学生までには月額10,000円が支給)。その一方児童手当を受けている子供は、税金の扶養控除が受けられない。そのため、だいたい平均で5~6万円の所得税増税になる。つまり実質上年額6~7万円の支給になります。1年に子供にかかる養育費は、100万円はゆうに超えます。もし習い事や塾などで合わせて、養育費が200万円であれば、負担する消費税額は、16万円(10%だと20万円)になります。全く足りません。公益財団法人「1more Baby 応援団」の既婚男女3000名に対す201年の調査では、子供が2人以上欲しいと答えた人は、全体の約7割でした。しかし、74.3%が「二人目の壁」が存在すると答えています。経済的な理由で、2人目を作ることが難しいことを指します。また正規雇用の男性の既婚率は4割ですが、日正規雇用の男性の既婚率は1割です。非正規雇用の男性は事実上、結婚は困難ということ。2018年非正規雇用の男性は、500万以上(2022年699万人)、10年前より200万人増加。(これらの問題を解決しないで、何が異次元の少子化対策なのでしょうか?)。

・「日本の急速な少子化は経団連のせい」。(2023/10/10、経団連は、政治献金の判断基準となる主要政党の政策評価を発表した。自民党を中心とする与党を10年連続で「高く評価できる」として会員企業に自民党への献金を呼び掛ける一方、少子化対策の財源を巡って消費税増税を検討するよう改めて同党に求めた。)

・第4章 消費税で大もうけしたトヨタ: 経団連の中でも、もっとも消費税を推したのはトヨタ。2019年の消費税増税時には、自動車税が下げられ、自動車首都税も廃止され「環境性能割」という税金が導入されるが、実質的な減税となっている。自動車業界の「日本の自動車に関する税金は、先進国の中では高いから」は詭弁です。アメリカは安いですが、ヨーロッパでは消費税の最高税率がかけられています。

・「なぜ、物品税は廃止されたのか?」。物品税は1989/4/1日の消費税法施行に伴い廃止された。物品税は「贅沢なものに税金が課せられる」もので戦後すぐに導入された。物品税を払っているからと言って、国民生活に負担があるものではなかった。格差社会を防ぐうえでも効果があった。贅沢品に課税されるということは、必然的に高額所得者が負担することになる。物品税の税収は2兆円あった。消費税導入時の税収は4兆円。物品税をちょっと拡充すれば消費税など必要なかった。消費税の導入により、物品税15.5%~23W%が廃止された。

・「トヨタは消費税で儲かる」。消費税の「戻し税」という制度により、トヨタは消費税をはらうのではなく、逆に還付を受けている。消費税には、「国内で消費されるものだけにかかる」という建前があります。だから輸出されるものには消費税はかからない。輸出されるものは、国内で製造する段階で消費税を支払っている、そのため「輸出されるときに、支払った消費税を還付する」のが「戻し税」というものです。この戻し税は事実上「輸出企業への補助金」になっている。

・「トヨタは年間3000億円以上の戻し税を受けとっている」。トヨタは、2007年から2011年までに、消費税の戻し額は、1兆3009億円、年間約26000億円を受け取っている。2014年から消費税は5%~8%になった。単純計算でも、1.6倍になる。この恩恵を受けているのはトヨタだけではない。輸出企業上位10社が、2018年増税後の戻し税は、1兆円以上が見込まれている。消費税の税収は、は十数億円である。そのうち1兆円も戻し税を払う。(トヨタ2022年戻し税6003億円。日本を代表する輸出大企業10社に、2020年度だけで1兆2千億円余りの消費税が還付された)

・「トヨタは2008年から5年間税金を払っていなかった。」。トヨタは2008年から5年間も日本国内で法人税を払っていなかった。この間トヨタは最高益を更新しているほどもうかっていた。トヨタが5年間も税金を払っていなかった最大の理由は、「海外子会社からの受取配当の益金不採算」と言う制度。これは、「外国かの子会社から配当を受け取った場合、その95%は課税対象から外される」ということである。これは同様事かと言うと、外国子会社から1000億円の配当を受け取ったときに、950万円は無税になるということである。現地国と日本で二十課税を防ぐという仕組みであるが、現地国と日本で払う税金が同じなら納得できるが、配当金の税金は、世界的に見て法人税より安い。つまり現地で払う税金は、日本で払うべき税金よりかなり少なくて済む。世界的に見てだいたい配当に対する税金は、10%前後。対する法人税は20%~30%である。たとえば、アメリカの子会社が1000億円、日本に配当した場合、源泉額は10%の100億円である。日本で1000億円の収入があれば、法人税23.3%で、税金は232億円になる。その差額の132億円が本社の懐に入る。理屈から言って、海外子会社が現地で支払った100億円の源泉徴収から、日本の法人税232億円から引いた残りの132億円を日本で払うべきだが、まるまる免除している、「税制の抜け穴」になっている。この「海外子会社配当の非課税」は2009年に作られた。それまでは、源泉徴収された税金分だけを法人税から控除するというまっとうな方法がとられていた。2000年後半からトヨタは完全に海外依存型の企業になった。「海外子会社配当の非課税」は、トヨタの収入の柱を非課税にする制度。

「なぜトヨタ優遇税制がつくられたのか?」。最大の要因は、「政治献金」にあるといえる。自民党への政治献金が多い企業団体ランキングでは、1位が、一般社団法人日本自動車工業会で毎年6~8000万円、2位がトヨタで、5000万円程度。つまり1~2位がトヨタ関係になる。(2023/4の記事。一般財団法人の国民政治協会は自由民主党(自民党)の政治資金団体で、同党への政治献金の受け入れ窓口だ。同協会が1年間に受け入れる30億円ほどの政治資金のうちの70~80%が、あらためて自民党に寄付されている。つまり最低でも、自民党に21億円の献金があるということ。)

・「もはやトヨタは無日本経済に貢献していない」。トヨタの現状を整理すると、・バブル崩壊以降も業績は好調で史上最高収益を続けている。・日本で最高の税優遇を受けている。・株主には高配当を連発。毎年1000億円から6000億円。・バブル崩壊以降、賃金はほとんど上げなかった。・正社員の数を大幅に減らしている。1992年7万5千人から2018年7万人程度(2022年従業員数最71373)。下請け企業に払うお金がピーク時より10%以上も落ちている。2008年9兆8000億円から2018年9兆円を大幅に割り込んでいる。

※  たゆまない企業努力のたまものですが、トヨタ自動車は日本一の企業です。それゆえに多くの税制の優遇と円安の恩恵を受けています。トヨタ自動車は11/1、2024年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比61%増の3兆9500億円になりそうだと発表した。従来予想(2兆5800億円)に比べ1兆3700億円上方修正した。22年3月期の2兆8501億円を超え2年ぶりの最高益となる。好調な生産や為替の円安効果が利益を押し上げる。為替の影響を表す為替感応度では、トヨタは、1円安で450億円の利益が出ます。想定為替レートを1ドル125円から141円に変更した影響が大きいです。このまま150円あたりで推移すれば利益はさらに拡大します。ニュースでは「 円安で儲けたお金を何に使うかが重要」と放送していました。内部留保と株主の配当だけでなく、従業員に還元してほしいです。

・第5章「やはり元凶は財務省」: 消費税の本丸は財務省。消費税推進の「ラスボス」は、政治家ではない。財務省である。「国民の生活をよくするため」「国の将来のため」ではない。「巨大な利権」を維持するため。財務省は、実質的に「国の予算を決める権利」を持っており、しかも「徴税権」や「国政に口を出す権利」もある。国を動かしいているのは財務省の官僚たちだと言っていい。そして財務省幹部たちには退職後、夢のような天下り生活が約束されている。

「予算法の欠陥により大蔵省のパワーが膨張」。本来、財務省と言うのは、国の会計係に過ぎない。戦後の憲法では、予算は全て国会の承認が必要になった。政治家というのは、予算の細かい内容まではわからない。必然的に各省庁の予算計画を精査し、支持するようになった。そのうちに権力が増大した。

・「高度成長により大蔵省の存在がさらに大きくなる」。高度成長期というのは、日本経済が爆発的に成長した。必然的に、税収もうなぎ上り。財務省は「大きなお金を動かす」ようになり、必然敵に大きな権力が生じた。財務省は、その権力を維持するために、常に「大きなお金」を手にしておかなければならない。所得税や法人税は政治家の都合で簡単に引き下げられてします。政治家がなかなか手御出せない安定財源を確保しなければならない。財務省には消費税が絶対に必要だった。

「財務省のキャリア官僚も消費税利権を持っている」。財務省のキャリア官僚にとっては、「消費税は実利がある」。なぜかというと、財務省のキャリア官僚が「天下り先」に利益をもたらすからである。「天下り先」が潤えば、間接的に実利を得る。財務省のキャリア官僚のほとんどが退職後、日本の超一流企業に天下りしている。しかも彼らは数社から「非常勤役員の椅子を用意される。ほとんど仕事もせずに濡れ手で粟の大金を手にすることができる。事務次官や国税長官経験者は、生涯で8~10億円稼げると言われている。

・「なぜ大企業は財務省キャリアを受け入れたがるのか」。財務省は、日本で最強の権力を持っている。その権力をあてにして、大企業が群がってくる。しかも、財務官僚の天下りを受け入れることは、税金対策になる。

・「財務省の持つ巨大な国家権力」。日本の財務省は、先進国ではありえないほど権力が集中している。・予算を握っている。・政治がらみの重要なポスト、筆頭秘書官、官房副長官補、重要閣僚の秘書官などのすべてを財務省が握っている。これにプラスして国税庁まで握っている。国税庁は建前では、財務省から独立した地位にあることになっているが、人事面を見れば、国税長官、次長、課税部長の国税ナンバー3は財務省キャリアの指定席。「国税は財務省の子分」。

「財務省が徴税権を握るという危険」。財務省は、日本の国家予算を握っている。建前上は、日本の予算を決めるのは、国会であり、国会議員がその策定尾することになっている。しかし、国会議員のほとんどは、予算の組み方などはわからない。だから実質的に、財務省が策定している。これに加えて、実質上「徴税権」まで持っている。財務省は国の柱となる2つの巨大権力の2つとも手中にしている。これは先進国ではあまり例がない。国税庁は、国民前部に関して、「国税に関するすべての調査をする権利」を持っている。国民にはこれを拒否する権利はない。財務省は、「予算というエサをばらまくことで言うことを利かせる」他に「徴税権をちらつかせて言うことを利かせる」ことができる。これでは、国民も企業も財務省の言うことを聞くしかない。(最凶の官庁とも呼ばれている。)

・「財務省の権力維持のための安定財源」財務官僚が、この強大な権力を維持していくためには、「安定財源」が欠かせない。ここでいう安定財源とは「国民が苦しかろうと国の将来がどうなろうと、とにかく一定の税収を確保する」と言う意味です。「お金を持っているからこそ、周りの奴が言うことを聞く」のである。消費税は、景気に関わらず一定の税収が見込める。景気が悪くても、国民は生活するために一定の消費はする。だから財務官僚にとって消費税は都合がいい。

・「なぜ財務官僚は視野が狭く、自己保身的なのか?」。財務省を支配しているのは、「キャリア官僚である。日本の官僚組織に入るには、おおまかにいって3種類のルートがある。「高卒程度」「短大程度」「大卒程度」のルート。この「大卒ルート」で入るのが、キャリア官僚である。競争率が高いので超一流の学力を必要とする。だから「東大出身者の割合が異常に高い。キャリア官僚は、国家公務員全体で、1%ちょっと。20代後半で係長、30代半ばで課長補佐、40歳までに課長、50歳では早期退職して天下りする。このキャリア制度はどう見ても欠陥なのだが、財務省にはさらに「強烈な学閥」がある。「東大法学部」出身者が、90%以上を占めている。1大学の出身者だけが、中枢を担っているのは、どう見てもおかしい。しかも20歳そこそこの時に受けた試験の成績が良かったというだけで、強大な国家権力が自動的に与えられる。これで「日本がおかしくならないはずがない」。(元大蔵・財務官僚、経済評論家の髙橋洋一氏は、日本の財務官僚は数字に弱くて経済音痴と言っています。勉強ばかりしてきた二十歳そこそこの世間知らずの若者が、財務省の縦割りの閉鎖社会の中で教育されて、日本の将来を左右することに恐怖を感じます)

・「財務省キャリアの無能の象徴が消費税」。消費税は税を少しかじったものならば欠陥だらけだと分かっている。消費税と言うのは、大蔵省のキャリア官僚が、フランスの間接税を見て思い付きで作った税金なのである。消費税の最大の欠点は物価が上がるということ。

・「消費税を19%に、財務省の野望」。「消費税19%に、OECD事務総長、麻生氏に提言」(2018/4/13 朝日新聞)。この記事を読むと「OECDから勧告まであったのだから、やはり日本は消費税を上げるべきなのだろう」と思うだろう。しかし騙されてはならない。OECDは一応国際機関である。しかし財務省はOECDに対して、強い影響力を持っている。日本のOECDへの拠出金はアメリカに次いで第2位。事務方のトップは、財務省出身者が就任している。本来、国際機関は日本の消費税などに関心はない。つまり財務省は日本国内の不満を抑えるために「国際機関から勧告があった」と言う型を取ろうとして。財務省のキャリア官僚は、思慮が浅いくせに、悪知恵だけはしっかり働きます。(OECDは日本語で経済協力開発機構といいます。国際経済全般について協議することを目的とした国際機関で、「世界最大のシンクタンク」とも呼ばれています。欧州諸国、米国、日本などを含む38か国の先進諸国によって構成されています。2021/9のOECD理事会において、武内良樹元財務官が、OECD事務次長に任命さ。他にも多くの日本人が財務省広報誌に載っています。2021年実績の日本のOEDA拠出額は176億3400万ドルで、1位のアメリカ、2位のドイツに次ぐ第3位です)

・「税金の無駄遣いを招く財務省の権力集中」。財務省への権力集中は、税金の巨大な無駄も招いている。現在の国家予算の決め方では、税金の使い道は全て、1円単位で内閣が予算案を提出し、国会が精査するという建前になっている。国会も内角も予算の詳細をチェックする能力はないので、事実上、財務省が行っている。各省庁は、1円でも多く予算を獲得するため、あの手この手で財務省に働きかける。削られるかもしれないので「盛った案」を提出する。また一度予算化付いたら、必ずそれを全部使ってします。予算を残すと、次の年は予算が削られてしまう。各省庁にとってそれは「絶対悪」になる。また年度の途中で、何かお金が必要な状況が生じても、それには対応できない。だから、「必要な仕事が必要な時期にできない」。つまり今の国家会計システムでは、各省庁は「いかに多くの予算を獲得するか」「いかにそれを全部使いきるか」と言う方向にしか仕事が進まない。これでは予算が膨張するばかりになる。省庁としても効率的な運営ができない。

第6章 財源はいくらでもある: 財源はいくらでもある。法人税を消費税増税前の税率に戻せばどうなるか。政府発表の企業統計調査の1989年の企業利益は約40兆円、2018年の企業利益は約84億円。30年間で倍増している(財務省が1日発表した2022年度の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の経常利益は前年度比13.5%増の95兆2800億円だった)。そして1989年の法人税の税収は19兆円(基本税率40%。2018年は23.2%)だった。2018年の法人税収は11兆円程度。もとに戻せば、27兆円の増収になる。所得税も同様にして、国民の所得は1989年と比べると20%程度増加している。サラリーマンの平均給与は平均20%下がっている。サラリーマン以外の人の収入が逆に20%増えている。とくに配当所得者などの所得が激増している。こういう人たちに、抜け穴を防いで、1989年当時の税率にすれば、概算で20~30%、金額にして4~6兆円の税収増になる。2018年の消費税(8%)の税収は18兆円程度。10%に増税しても22兆円程度だとみられる。(2022年23兆792億円)。つまり、法人税と所得税を1989年の税率に戻せば、消費税を廃止してもおつりがくる。

・「法人税、富裕層の所得税を増税しても景気に全く影響ない」。消費税は、消費に打撃を与える税金である。国民の購買力が消費税分下がるわけだから消費は落ちこむ。景気が悪くなる。一方、法人税や高額所得者の所得税は、「会社の儲け」や「所得の高額部分」にかけられる税金である。現在の内部留保金や富裕層の預貯金の増え方を見ると、多少税金を挙げても「増え方が鈍る」程度のもの。景気には全く影響ない

「企業は有り余るほどの内部留保金を持っている」。「消費税の代わりに法人税を挙げるべき」なのは明白なこと。日本企業は内部留保金を増やし続けている。2017年で内部留保金は446兆円。この14~15年で倍以上に増えている。法人企業統計 財務省が1日に発表した法人企業統計によると、2022年度の大企業(資本金10億円以上、金融・保険業含む)の内部留保は511・4兆円と過去最高を更新)。日本の法人税を下げすぎたので、これほど内部留保金がたまった。日本企業の内部留保金の多さは、日本経済を大きく蝕んでいる。

・「富裕層の資産も膨れ上がっている」。1990年の個人金融資産は、1017兆円。2018年の、日本銀行の統計による、個人金融資産は1850兆円を超えている。(2022年12月末の個人金融資産残高は、前年比9兆円増の2023兆円となり過去最高)。これはアメリカに次いで世界第2位。資産から負債を差し引いた国民純資産は、断トツの世界一位である。個人金融資産が1850兆円と言うことは、赤ん坊から年寄りまでのすべての人が、平均で1400万円以上持っているということである。2017年日銀の「家計の金融行動に関する世論調査では、2人以上で預貯金0の過程は、30.9%です。一方、クレディ・スイスの「2016年グローバル・ウェル・レポート」では、100万ドル以上の資産を持つ、ミリオネアの日本人は282万6000人で前年より74万人近く増加。(2020年302万5,000人で世界3位)。1990年の個人金融資産は、1017兆円。30年足らずの間に、800兆円。1年あたりに換算すると、約28兆円が増加している。この28兆円に、最低税率5%所得税として、5兆円引いても23兆円分の増加分がある。

・「直間比率に騙されるな!」「日本は間接税の割合が低い」「だから増税するなら消費税」消費税推進派の人は良く言いますが、だまされてはなりません。そもそも「直間比率」などは、本来税務上で全く重要な要素でない。アメリカなどでは国税は、ほとんどが直接税である。税金とは、負担が重くなっていないかなどが最も重要。直間比率などと言う言葉を普及させたのは、大蔵省のキャリア官僚。消費税法案をどうしても通したいため、「直間比率」と言う言葉を持ち出し、あたかも日本の税制が間違っているイメージを作り出した

・「億万長者が普通に社会保険料を払えば年金問題は解決する」。国民の多くは、社会保険料の高さに苦しんでいる。社会保険料は年々上がり続け、税金と保険料を合わせた負担率は40%に上っている。これは実質的に世界一高い。(2022年 財務省の発表によると、税負担28.6%と、社会保障負担18.8%を合わせると47.5になる)。しかし、億万長者(1億円以上)の負担率は、わずか2%以下になる。そのわけは、社会保険料は収入に一律に科せられる。厚生年金の場合は、湯役8%になる。しかし社会保険料の対象になる収入には上限がある。厚生年金の場合は月62万円になる。月62万円以上収入がある人は、いくら収入があろうと62万円の人と同じ保険料しか払わない。月620万円の収入の人の負担率は、0.8%になる。そもそも社会保険料と言うのは「国民全体の生活を保障するために、各人が応分の負担をする」と言うものです。だから富裕層の社会保険料率が低いのは絶対におかしい富裕層が普通に社会保険料を払うならば、年金の財源などすぐに賄える。概算でも20兆円程度の上乗せになる。社会の恩栄をもっとも受けているのは富裕層である。日本の社会が安定し、経営運営が行われていたからこそ、富裕層になれた。相応の負担は当たり前である。

・「そもそも増税は必要なのか?」平均的なサラリーマンの人で、所得税はだいたい10%、住民税が10%。税金だけで20%もとられている。それに社会保険料、健康保険と厚生年金を合わせて約50%である。それにNHKの受信料や公共料金などの「準税金」などもある。日本の公共料金は世界一高いとされている。日本では、少子高齢化のために社会保障費が激増している。社会保障関連費が国の歳出の中で最も大きい。約30兆円である。社会保障関連費の中で最も多いのが約3割を占める「医療費」である。「国が支出している医療費」の4割強、約5兆円が後期高齢者のための支出なのである。日本では、寝たきり老人が200万人いると推計されている。これほど寝たきりり老人のいる国は世界中どこにもない。欧米先進国では、医療機関などには「寝たきり老人」はほとんどいない。なぜ日本にこれほど多いのかと言うと「とにかく生かしておく」延命治療がスタンダートに行われているからである。先進国では「自力で生きることができなくなったら無理な延命治療はしない」ことがスタンダードになっている。

・「なぜ日本に病院が多いのか?」。日本は先進国の中では以上に病院が多い。また病床数も先進国の中で断トツに多い。なぜ多いのかと言うと「民間病院」が多いからである。日本の約9割が「民間病院」である。なぜ「民間病院」が多いかと言うと「儲かるから」である。厚生労働省の「医療経済実態調査」では、開業医や勤務医の年収はおおむね・開業医 約3000万円 ・国公立の院長 約2000万 ・勤務医 約1500万円。この数値は名目上の収入であり、税制上の優遇措置を考慮すると、開業医の実質年収は平均で、4~5000万円だと推測される。なぜ、開業医がこれほど優遇されているかと言うと、民間病院は「日本医師会」と言う強力な圧力団体を持っているからである。「日本医師会」は「医者」の団体でなく、「開業医の団体」であり、自民党の有力な支持母体であり、多額の政治献金をしている。(2022年自民党への献金リストの1位が日本医師会。2億5000万円、他にも日本医師会(日医)の政治団体「日本医師連盟(日医連)」とその関連団体が2021年秋、自民党麻生派(志公会)に、派閥向けでは異例の高額となる計5000万円を献金。2023年東京新聞の記事では、日本医師会(日医)の政治団体・日本医師連盟(日医連)とその関連団体が自民党麻生派へ計5000万円の高額献金をしていた問題で、このうち4000万円を献金していた「国民医療を考える会」は、政治資金規正法の寄付の上限規制を逃れるために設立されたことが、日医連関係者への取材で分かった。規正法では、政治団体間の寄付を5000万円までに制限している。日医連は毎年、都道府県の医師連盟から計10億円近い寄付を集めているが、東京など金額が大きい医師連盟は日医連に5000万円を寄付した上で、さらに「第2の受け皿」である考える会に寄付していた。東京都医政連の関係者は「寄付の上限を超えないよう日医連に5000万円、残りは考える会に分けている」と話した。献金を振り分けることで事実上、上限額の倍近い寄付をしていた。事実上、日本医師会は法の抜け穴を利用して、自民党に多額の政治献金をしている)

「財政システムの大修繕をすべき!」日本の税金の使い道は「無駄だらけ」「非効率だらけ」なのだが、これをただすシステムがない。あまりに複雑に絡み合って、誰も全貌を把握しているものがいない状況。今の日本の財政状態は戦後81年の国家システムの金属疲労だともいえる。大規模な調査団を作り「特別会計検査」をするしかない。

・「誰に消費税をはらわせるというのか」税金を決める際に、重要なファクターとして「担税力」がある。「担税力」とは、税金を払えるだけの資力があるかどうかというもの。そして欧米では、「担税力」があるものにしか税金をかけないというのが大原則日本の税制では、「担税力」が全く考慮されない。名目上の税率や、直間比率など、欧米ではほとんど顧みない。どうでもいいファクターばかりが重要視される。「担税力」という観点で見たときに、誰に税負担を求めるべきか?「若者が経済的理由で結婚できない」「若い夫婦が二人目の子どもを産めない」。そんな経済システム、財政システムは絶対に間違っています。

私の知識不足で「財政や税金」に関して知らないことがたくさんありました。そうした私にとって大村大次郎著書「消費税と言う巨大利権」はとても勉強になりました。図書館で借りた本が2019/4出版の書籍のため、消費税は8%の時でした。2019年に消費税が10%に増税されていますので、比較のために分かる範囲で2022年のデータも参照しながら読みました。今まで知らなかったこと、メディアで知らされなかったことが学べてとても勉強になりました。大村氏はあとがきに「できうる限り多くの人に読んでもらいたい」と書いています。抜粋で簡単に書くつもりでしたが、内容が豊富なために削れるところが少なく長くなってしまいました。著者には申し訳ないと思いますが、日本のためと思ってお許しください。ネットで調べると2023/9補改訂版 消費税という巨大権益」 が出版されていました。財政に関心のある多くの方に是非とも読んでほしいです。データに基づいていて、分かりやすくて読みやすいですし良くまとまっています。メディアは、切り取りで山本太郎議員を非難していますが、世間では、YouTube【国会中継録画】山本太郎 予算委員会 質疑(2023/11/01)が評判です。3流週刊誌のような揚げ足取りの非難ばかりで身内には甘い、どこかの議員と政党より、よっぽど勉強していますし建設的な議論をしています。山本氏の主張は、「この本」を読むと、より理解できると思います。私はマスコミの刷り込みで山本氏に良い印象は持っていませんでしたが、見直しました。

学校での金融教育は、社会科や生活科、道徳等複数の教科を横断する形で、小学校から始まりました。2022年4月からは、高校において資産形成に関する授業が必修化されました。「知は力」ですから「金融知識」も無駄だとは思いませんが、財政も生きていくうえで必須の知識だと思います。例えば「この本」を教材にして「財政教育」も必修科目にしても良いと思います。政府は都合が悪いので絶対にしないと思います。政府も官僚も自分たちの利益しか考えていません。多くの国民はそれに気づく必要があります。

狂気とは、同じ事を繰り返しながら、異なる結果を期待することである。Insanity is doing the same thing over and over and expecting different results. これは天才物理学者アルバート・アインシュタインの発言と言われています。日本は失われた30年だと言われていますが、2018年から2022年の5年間のデータを比較しても、「大企業と官僚と政治家とお金持ち」はブクブクに太りましたが、庶民は貧しくなりやせ細っています。日本の実態は停滞ではなく衰退です。これまでと同じことが続くなら、日本は破滅します。坂本龍馬は3歳上の姉・乙女に多くの手紙を書いています。「日本を今一度洗濯いたし申候」乙女に宛てた手紙の一文です。長い幕藩体制の中で錆び付き身動き出来なくなってしまった日本を、もう一度洗濯してその錆を洗い流し、新しい近代国家として再建したいという竜馬の熱い思いがこもった言葉閉塞感で窒息しそうな今の日本に最も必要な想いです。

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