雑筆24 どんぶり勘定の財政 ①

私はビジネスの世界は好きですが、政治の世界は嫌いです。嫌いな理由を考えてみました。それは、政治が嫌いと言うよりも、政治家が嫌いだということに気づきました。あくまでも個人の感想です。理由①選挙の時にはぺこぺこする癖に、当選したとたんに「偉そうにふんぞり返っている姿勢」が人として嫌いです。理由②前に友人が、「政治家は当選回数を重ねるに従い人相が悪くなる。」と言っていました。100%合意できます。「人は見た目通り」と言われることもあります。「性格と人間性は顔つきに出ます」。多くの政治家の顔は、私は嫌いです。どうしても嫌悪感が生じます。それ以外に、よく「与野党の対立」などとマスコミは対立構造をあおりますが、そもそもそれを信じていません。「茶番」です。地方選挙の相乗りのように、裏では持ちつ持たれつの互助関係だと思っています。消費税の税率アップの内、4回は自民党以外の政党の時です。

私の仕事で一番多いのは、プロジェクトマネジメントの研修講師とコンサルティングです。前職でも多くのプロジェクトに関わってきました。当然プロジェクトですから、予算があります。民間の会社は計画した予算内で何とか完了させようと努力します。トラブルや不慮の出来事に対応するために、全体のプロジェクト予算の10%~15%ぐらいを予備費として計上することはありますが、それでも何とか当初の計画した予算内で完了しようと努力します。計画予算を超過した場合は、お金を出すオーナーやスポンサーに対して、当然のこととして説明は必要になります。

一方、政治家や官僚の世界では、税金を自分たちのお金だと思っているのでしょうか。色々なプロジェクトを実施していますが、平気で当初計画した予算から大きく超過するケースがあまりにも多いです。最初から予算内に収めようと思っていない「どんぶり勘定」のように見えます。どのような見積りで予算を計画しているのかも分からなければ、それが大幅に超過した時に、主権者の国民への適切な説明がなされていないように感じます。自分たちの利権重視に見えます。無駄な税金の使い方をしていて増税の議論には納得できません。誰が検討して、だれが責任を持ち、誰が承認しているのかは、見えません。ほんの一例ですが、私が疑問に思っている例を4つ挙げます。

①  2023年東京オリンピック: 東京五輪の最終的な経費は約1.7兆円に上り、招致段階での7340億円に比べて2.3倍に膨らみました。この大会経費には談合などによって生じた不必要な経費・無駄な経費がかなり含まれているとみられています。大会経費は国民や都民の税金が原資となっており、国民や都民の税金が無駄に使われています。東京五輪には1兆円をこえる公費が投入されましたが、組織委と民間業者の契約内容は非公開とされ、その支出について第三者が検証できない仕組みになっています。ロイターが入手した「東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会」(招致委)の銀行口座の取引明細証明書には、招致活動の推進やそのための協力依頼に費やした資金の取引が3000件以上記載されており、多くの人々や企業が資金を受け取り、東京招致の実現に奔走した経緯をうかがわせています。そうした支払いの中で最も多額の資金を受け取っていたのは、電通の元専務で、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(組織委)の理事を務めていた高橋治之氏です。招致委の口座記録によると、高橋氏にはおよそ8.9億円が払われています。高橋治之元理事を巡る贈収賄事件では、AOKIホールディング、KADKAWA、ADKなどから次々と逮捕者を出し、高橋元理事は計5ルートから総額2億円もの賄賂を受け取っていたとされ、4度にわたって起訴されています。人材派遣のパートナー契約はパソナしか許されていません。43会場の派遣スタッフを頼む時には、パソナにオファーを出す契約になっています。現在、ニュースでは大手販売会社の保険金詐欺が問題になっていますが、オリンピックの賄賂は、税金泥棒同然です。関わった会社の責任追及はメディアではほとんどなされません。その後も関わった企業が国の事業を継続的に受注しています。関係がある政治家や官僚の責任も追及すべきです。ちなみにオリンピック特需があったと言われている、パソナグループの2021年5月期(20年6月~21年5月)通期の連結業績は、売上高が前期比2.9%増の3345億円、営業利益が88.5%増の199億円、純利益が約11倍の67億円です。

②  大阪万博 : 万博の会場建設費は、国と大阪府と市、経済界が3分の1ずつ負担することになっています。つまり会場建設費の3分の2は税金が投入されます。すでに会場建設費は、資材価格の高騰や人手不足の影響で2020年12月の時点で当初想定の1250億円から1850億円に引き上げられています。建設には、大阪市の許可が必要ですが、2023年7月中旬になっても建設申請が1件もないことが明らかになりました。そのため経済産業省は2日、2025年大阪・関西万博の海外パビリオン建設を支援するため、国内建設業者を対象とした「万博貿易保険」の創設を決めました。 発注元の参加国側から工事代が支払われない際の料金を穴埋めする言い変えれば、海外の参加国に対して建設代金を支払わなくても保険でカバーしますから早く建設してください、と促しているようなものです。当然原資は税金です。東京五輪の例から考えても、この後予算はさらに増大することが予想されます。建設費は1850億円ですが、半年の開催期間が終わると後何十年も使える建物を一気に解体します。184日間の開催ですから1日あたり10億円になります。無駄使いです。撤去の費用は、1850億円に含まれていないようです。

余談ですが、銀座の「東劇」で、天海祐希さん主演の「薔薇とサムライ2」を見ました。私は「劇団新感線」の演劇が好きですが、ただチケットを取るのが難しいです。生の舞台は1回しか見に行けていません。「ゲキ×シネ」は舞台を映像化したものです。「ゲキ×シネ」では10回近く見ています。コスパはいいです。前に見た「薔薇とサムライ」が面白かったので、2も見に行きました。観劇の1番の感想は「天海さんのオーラが半端ない」ことです。私が今まで見た舞台の中で、最もオーラのある役者さんは「坂東玉三郎さんと大地真央さん」でしたが、スクリーンからでも「天海さん」のオーラは凄かったです。ザ・舞台俳優です。生で見たいと思い、他の出演の舞台をチェックしましたが、全てソールドアウトでした。大雑把なストーリーは、「為政者が庶民を過酷に支配し、重税・重労働を課すなか、天海さんたちレジスタンスが庶民を開放する」です。今の日本の状況と重なるイメージを持ちました。舞台は、ハッピーエンドでしたが、現実の世界もハッピーエンドになって欲しいです。

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