雑筆18 1to1ミーティング ~WBCの映画を見ました~

地上波のテレビは、もう10年以上見ていません。コロナ禍になったときに、Gayoでバラエティと海外ドラマを見始めました。ですので、2023年のWBCは1試合も見ていませんが、ジムで、たまたま、ちょうど決勝の9回裏の打者トラウトと投手大谷翔平の対決をテレビで見ることができました。家でWBCを見ている人が多くいたせいか、いつになくジムは空いていました。勝利の瞬間はジムで歓声が上がりました。

その後に、栗山監督に大興味を持ちました。直接講演などで、生で栗山監督の話を聞きたいと調べたところ、ちょうど2023年6月19日に、インテルのフェアで鈴木社長と栗山監督の40分の講演があり参加しました。栗山監督は、講演なので冷静に静かに話をするのかと思っていましたが、身振り手振りをしながら、熱く語っていました。話の熱量に引き込まれて聞きました。話すときは、必ず対談相手の鈴木社長の方を見ながら話していました。話の内容もさることながら、その話し方に、誠実な人柄を感じました。著書で、正式な場には失礼がないようネクタイをしていくと書いてありましたが、ネクタイしていました。講演の中で「コミュニケーション」の話題が出ました。栗山監督はコミュニケーションを重視しています。招集に関しては、出来るだけ直接、選手に電話をして依頼したそうです。鈴木社長から日本企業と外資系企業の違いとして、日本企業と外資系企業の差として、日本企業は1to1ミーティングが少ないと感じていると言っていました。外資系は総じて1to1ミーティングを実施しているとのことです。外資系は、もっとクールに人と関わるのかと想像していたので、少し意外でした。

最近読んだパナソニック・コネクト(株)樋口康之社長の著書「パナソニック覚醒」にも同じようなことが書いてありました。(ちなみにこの本は、企業戦略の教科書としても良い本です。)樋口社長は、松下電器に入社、12年勤続した後に、外資系のコンサル会社、アップル、日本HP、マイクロソフトの社長などを歴任したのちに、25年ぶりに出戻りで、パナソニックに入社しています。パナソニック・コネクト(株)の社長に就任して、会社が昔と殆ど変わっていないことに驚いたようです。雰囲気を変えるため、本社を大阪から東京に移転しています。社内のコミュニケーション環境を変えるために、様々な改革を実行しています。社長室の廃止、フリーアドレスを実施。服装のカジュアル化。社内書類は出来るだけ作らせない。「チャット」の利用。ダイバーシティ担当役員の任命。トップとの直接コミュニケーションの環境構築(若手層5~6名を集めて議論をする「ワクワクwork」)。そして1to1ミーティングの導入です。「1to1ミーティングは、外資系企業では当たり前のように行われています。業務の打ち合わせが主目的でなく、もっと幅広く上司と部下がコミュニケーションをします。将来のキャリアや、プライベートな課題や、ワークライフバランスの悩みなど。仕事以外にも多岐にわたる話を聞いて、上司は部下の人となりをある程度理解しながらマネジメントする。部下と向き合うことができる。」と書いてあります。インテルの鈴木社長と同じ発言です。日本とアメリカのカルチャーの違いを感じます。

前置きが長くなってしまいました。「憧れを超えた侍たち 世界一への記録」を見に行きました。平日の午後でしたが、ほぼ満席でした。上映時間は、130分でしたが、あっという間でした。個人的な感想ですが、観てよかったです。試合の記録映画かと思っていましたが、どちらかと言うと、M-1決勝後に放送される「アナザーストーリー」に近いと思いました。チームを編成する栗山監督の苦悩や、各選手の努力や思いを中心に話が構成されています。試合が進むにしたがって、栗山監督が痩せて、顔色も悪くなったように見えます。大変なプレッシャーだったのでしょう。選手にもピックアップして描かれています。私が特に印象に残った選手は

①  源田選手 小指を骨折しても、試合に出続けたことに、強い思いと使命感を感じました。全選手にその思いが伝わったと思います。漢だと思いした。

②  佐々木投手 打たれて降板した後にベンチ裏で涙を流していた姿には、胸を打たれました。点を取られたことに責任を感じていました。逆転して本当に良かったです。心から悔しがれる人は伸びます。

③  ダルビッシュ投手 今回は栗山監督の全員が主役、主体的に考えてほしいとの思いで、チームリーダー(キャプテン)を置きませんでしたが、実質、ダルビッシュ投手がその役目をしていました。チームをまとめていたと思います。監督に変わって、選手の立場でみんなに声をかけていました。リーダーシップがあります。

④  大谷投手 そして何といっても一番注目されていたのは、やはり大谷選手です。寡黙で静かな選手なのかと思っていましたが、誰よりも熱い選手でした。常に声を出してチームを鼓舞していました。まさにWBCのムードメーカーでした。そして何より楽しそうに試合をしています。見る人たちを幸せな気持ちにしてくれます。

なんといっても優勝の一番の功労者は栗山監督です。本人は謙遜して「全て選手のおかげで優勝できた。」と言っていますが、あの一体感を生みだしたのは、栗山監督の力です。1人1人の選手に向き合っています。「各チームの大切な選手をお借りしているのだから、何よりも無事にお返ししたい。」とも発言しています。映像の中でもある時は起用に関して選手に誤っていました。要所要所で細かく選手に声をかけています。この監督のためなら、どんなことでもしたいと選手が思う雰囲気作りはすごかったです。誰もがまねできるとは思えませんが、それでも「マネジメント」の教材としても使えます。栗山監督の行動を見ていると、真摯に相手に向き合い、相手のことを考えることの重要さが認識できます。

余談ですが、最近見た映画では「TOKYO MER~走る緊急救命室~」も面白かったです。テレビドラマは見ていませんが、バラエティに番宣で出ている時の鈴木恭平が、ストイックに役作りを徹底していることで、「プロフェッショナル」の凄さに感銘して映画を見ました。良い映画は、コスパもタイパも元が取れます。代表作として「変態仮面」を挙げていることにも好感を持ちました。鈴木恭平にとって、「変態仮面」は「黒歴史」として消したいキャリアなのかと勝手に想像していました。「変態仮面」は、Gyaoで見ました。面白いコメディ映画ですが、今や日本を代表する役者さんとしては恥じているのかと思っていました。「変態仮面」を代表作言い切れることに、一生懸命演じたことに対しての自信と心の強さ、それと主演で世に出してくれた作品として、制作してくれた人たちへの感謝とリスペクトを感じました。作品に関わった人達は、そんな風に言ってくれていることを全員喜んでいると思います。ウィキペディアを見ると生きる上で影響を受けた本として矢沢永吉の「成り上がり」を挙げていました。「若き日の僕は血気盛んだったので、『成りあがり』を読んで、夢を叶えるためには人の何十倍もの情熱が必要だということを学びました。もし芝居の神様というものが存在するのであれば、身も心も捧げる覚悟で生きて行こうと決心をした、そんな一冊です。」と話しています。その通りに生きています。本当に素敵な役者さんです。

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