ロジカルシンキングの原理原則 20 ロジカルシンキングの注意点5 

・意思決定のルールに注意 : 意思決定とはあらかじめ定められたロジックを用いて判断材料(インプット)から結論(アウトプット)を出す行為です。意思決定をする必要があるときには、事前に「どのような状況になったら」「どのような方法で意思決定するか」を決めておく必要があります。そうしないと結論を出さないまま、エンドレスで会議をします。外資系企業のミーティングでは、事前に会議の「アジェンダ」を配布し、会議の議題、会議の目的、求める結論、会議時間、会議の役割分担、決議方法を決めてありました。主な意思決定の方法は、以下の種類があります。「全会一致」とは、ある集団において反対論者を一人も出さずに意見をまとめ採用することです。満場一致とも言います。 「多数決」には次のような種類があります。「過半数」とは、全体の半数より多い数をもって決するもので最も原則的な形態とされている方法です。過半数は出席者数を2で割った値の整数部分に1を加えて得られた数です。「特別多数」とは過半数よりもさらに多い特定の数をもって決する方法です。意思決定を困難なものにする恐れがあることから議事の性質上、特に慎重さを要するとされるものに採用されます。例えば、マンションの総会の特別決議は、議決権の3/4の賛成を必要とするなどがあります。「比較多数」とは、過半数に達しているか否かを問わずに相対的に多数であるものによって決する方法です。比較多数の方法では少数者の意思によって決することがあるが、これは事実上少数支配を肯定する結果となることから一般的には採用されません。例えば、漫才のM-1グランプリでは、優勝者を10組のうちの上位3組から、投票によって決めるのも比較多数の1種です。なお、多数決の方法について、「相対多数」というときは比較多数を意味し、「絶対多数」というときは比較多数の対義語として過半数と特別多数の総称として用いられる場合のほか、単に過半数を意味するものとして用いられる場合もあります。「一任」とは、物事の処理・決定のすべてを一人にまかせる方法です。「結論は社長の判断に一任する」のようなときに用います。マスコミでは、時々「強行採決」との記事が出ますが、欧米ではこれに相当する言葉はないと聞いています。ルールにのっとって「過半数」によってきめられているはずです。欧米では、決められたルールに沿って厳密に運用されます。例えば、2016年に実施された、英国のEU離脱の国民投票は、投票率約72%、残留支持が約48%、離脱支持が約52%で離脱が決まっています。日本ならもっと大もめするでしょう。
・必要条件と十分条件に注意 : 個人的にはあまり実務で使うことはないと思っていますが、会話などでは時々出ますので、意味を理解しておいた方がスマートです。これも数学的な思考法です。必要条件と十分条件は高校数学に出てきます。必要条件と十分条件の定義は、2つの条件pとqにおいて、「pならばq」が成り立つ(真である)とき、qは、pであるための必要条件である。pは、qであるための十分条件であるとなります。ちょっとややっこしいです。例えば「グローバル人材は英会話ができる」であるとき英会話はグローバル人材の必要条件になりますが、英会話ができるからと言ってグローバル人材ということにはなりません。英会話はグローバル人材の十分条件ではないということです。英語が出来ればグローバル人材なら米国の子供はみんなグローバル人材になってしまいます。「必要条件=ゆるい条件=大きい範囲」「十分条件=厳しい条件=小さい範囲」のイメージです。必要条件と十分条件の関係を理解すると、論理的に選択することの助けになります。

カテゴリー: エッセイ   この記事のURL