ロジカルシンキングの原理原則 21 ロジカルシンキングの注意点6 ファクト(事実)・真因

・ファクト(事実)に注意 : 「ファクト(fact)」とは「実際にあったこと、事実」という意味です。理想や噂、作り話ではなく、事実に基づいたものという意味です。似たような言葉に「エビデンス」があります。エビデンスは「その事実を証明するための材料」として使われます。「エビデンスがない」との発言を最近はよく耳にしますが「事実がない」というニュアンスで使っているように感じますが「判断する材料がない」と言うことですから、そうかそうでないかの材料を集めて発言すべきです。ファクトは何をもって事実とするかですが、トヨタ自動車では、三現主義を唱えています。三現主義とは、「現場、現物、現実」の3つの“現”を重視し机上ではなく、実際に現場で、現物を観察して、現実を認識した上で、問題の解決を図るという考え方のことです。トラブルが起きたときには、電話やメールで確認するのでは無く「現場に行き、現物を見て、現実を確認しなさい」と教育しています。これだけではありませんが、日本一の企業なのは、それなりの理由があってのことです。ビジネスにおいて、事実やデータに基づいた思考法を「ファクトベース思考」といいます。ファクトベース思考とは、基本的に数値化されたデータをもとに考えていきます。例えば「先期よりも今期の売り上げは若干増えます」と言うより今期の売り上げは15%アップですと表現したほうが的確に理解できます。数値は一番の世界の共通言語です。1%は1/100のことだと多くの人は理解できますが、イチパーセントと表現された場合は、日本語が理解できない人には何のことかは分かりません。

・真因に注意 : 真因(しんいん)とは「本当の原因」のことです。問題を発生させる「本当の原因」を「真因」と言います。問題・課題を解決しようとするときに、何に対して対策を考えるかというと、問題・課題を発生させる「原因」に対してです。「原因」が正しく認識されなくて対策を打つことは「対処療法的」な処置になります。問題を引き起こす真の原因に対する対策ではないので、解決にはつながりません。一時的に改善したよぇに見えても、またすぐに再現します。真因が正しく特定されていないときには、問題・課題を特定した段階で、すでに対策が決まっていることが少なくありません。問題を解決する術がわかっていると考えると、問題点と対策案の間を埋めるつじつま合わせの原因分析をしてしまいます。問題の裏返しのような対策になりがちです。例えば、問題は「営業の業績が良くない」。原因は「営業力が不足している」。対策は「営業力を強化する」になります。「営業の業績が良くない」の真の原因が「営業力がない」のであれば正しいですが、真因を考えたときに、例えば「顧客のことを理解していない」なぜなら「顧客の企業情報や過去の営業活動の情報が残されていない」から。なぜ「顧客情報が残されていないか」なぜかと言えば「顧客情報の蓄積する習慣やシステムがない」。なぜ「蓄積する習慣やシステムがない」なぜかと言えば「顧客情報の重要性を会社が理解していない」からになります。「営業部隊の業績が良くない」ことの真因が「顧客情報の重要性を会社が理解していない」と特定されたのであれば、まずは顧客情報の重要性を会社が理解し「顧客データベース」を作り、それに基づいて活動をしてみることが解決策つながります。真因を探索するツールとして「ロジックツリー」もありますが、トヨタ自動車が「改善活動」の中で実施している方法は、問題・課題から「why」なぜその問題・課題が起きるのかの、なぜなぜを5回繰り返す」方法です。僕もそれが最も簡単で分かりやすい方法だと思います。最低でも3回はなぜを繰り返すことをお勧めします。

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