ロジカルシンキングの原理原則 19 ロジカルシンキングの注意点4

・メリットとデメリットに注意 : メリットとは「良い点・プラス」、デメリットとは「悪い点・マイナス」です。 メリットがその事柄について肯定的に評価される面であり、デメリットは反対の否定的に評価される面になります。 世の中には、100%良いことも、100%悪いこともありません。買い物をする行為は、ものが手に入るというメリットはありますが、お金が無くなるデメリットはあります。ある人に良い事でも、別の人には悪いことになることもあります。例えば、時々マスコミで取り上げられる「議員定数の削減」や「議員報酬の削減」は、多くの国民には賛同されるでしょうが、議員にとってはデメリットです。これを決める権限を持つのが議員ですから実現することは困難です。議論の中で、良い事だけを強調して賛成させようとしたり、悪い事だけを強調して、反対させようとしたりすることは頻繁にあります。どちらかを強調した意見で結論を出すことは判断を間違えます。避ける方法として、メリットとデメリットの比較表を作り、相対的に判断をする方が良いです。欧米ではディベート教育を子供のころから行っています。ディベートとは、あるテーマに関して、対抗する2組が自分の意見には関係なく、賛成の立場と反対の立場に分かれ、論理的に観客を説得するために議論することです。子供のころから、メリットとデメリットの両面を考えることが訓練されています。最近は日本の教育でも取り入れているようですが、反対意見を敵対していると感情的に判断することが多い国民性になじむか心配しています。ある経営者がテレビで「日本人は会話ができるが対話ができない。同じ意見を持っている者同士はコミュニケーションが取れるが、違う意見を持っている者とはコミュニケーションが取れない」と言っていました。
・優先順位に注意 : ビジネスでは一度に複数のことを実行しようとすることがあります。同時に複数のことを実行できるのならば良いのですが、多くの場合、時間や人員やお金などのリソースは限られています。同時並行的に実行するのが難しいことはよくあります。そうした中、限られたリソースを有効に使う必要があります。マネジャーの重要な役割の一つとして「優先順位」を判断することが有ります。僕の経験では、優先順位を検討して実行順が判断されることはあまりありません。例えば、個人的な意見ですが僕は、国の予算は、施設などよりも少子化や子供の貧困問題や児童虐待に最優先に使ってほしいです。政治家は利権と票に繋がらないことは優先順位が低いと感じています。プロジェクトの作業やソフトウェアの機能などの優先順位を判断する方法に「優先順位技法」があります。「なくてはならないもの (Must have)」「持つべきもの (Should have)」「持つことが可能 (Could have)」「当面は不要 (Won`t have for now)」の基準で優先順位を決めます。他には例えば、仕事を「緊急度と重要度」「難易度と効果」のような指標で判断することもあります。優先順位を明確にしておかないと、重要な仕事が後回しにされることがあります。その結果、時間とリソースが無駄になります。
・トレードオフに注意 : トレードオフは、「取引」「商い」「貿易」などの意味を持つ(trade)と、「離れる」「去る」といった意味の(off)からなる言葉です。トレードオフ(trade off)とは、何かを達成するためには何かを犠牲にしなければならない関係のことです。すべてを満たす。すべてを手に入れるなどは不可能ですから、人は日常生活でも頻繁にレードオフの判断をしています。例えば、外出することは、事故や事件に会うリスクはありますが、会社や学校や買い物に行かなければ生活できません。「生活のため」に「出かけるリスク」を受け入れています。トレードオフは行為です。その判断基準として、メリットデメリットや優先順位を考えます。例えば製品開発では、ある機能を持たせるためには、ある機能をあきらめることが有ります。レードオフを判断しないと何もできなくなります。

カテゴリー: エッセイ   この記事のURL