BtoBセールスの原理原則7 「A.準備活動(Preparation)」-「A.2自社理解」

レベル1の「A.準備活動」の下位のレベル2は「A1 事前準備」「A2 自社理解」「A3 顧客理解」の3つに分けました。「A2 自社理解」とは、お客様に訪問前に自社の商品やサービスなどの特徴を理解しておくことです。当たり前のことかもしれませんが、「そんなことは分かっているから」と思いついおろそかになることがあります。「孫子の兵法」は、2500年前に書かれた兵法書ですが、書店の戦略の棚には必ず置かれています。武田信玄の旗印「風林火山」は孫氏の言葉です。「彼を知り己れを知れば、百戦して殆(あや)うからず。彼を知らずして己れを知れば、一戦一負す。彼を知らず己れを知らざれば、戦う毎に必ず殆うし。」は有名な言葉です。以前は「彼」を「敵」と訳している文もありました。「彼」とは「相手」を意味しています。戦いの場では「彼」は「敵」ですが、ビジネスでは、知らなければならない「彼」は「お客様」です。それと「己」の「自社」になります。言葉の順序を見ると、「自分(自社)」のことを最初に知ることが重要だと言っているように見えます。お客様も自社も理解していなかったら、そもそもビジネスになりません。
「A2 自社理解」は、「A2.1 自社の商品・サービスの理解」「A2.2 自社商品のポジショニングの比較」「A2.3 アピールポイントの整理」に分けました。

・「A2.1 自社の商品・サービスの理解」: 営業活動は、個人プレーのイメージがあるため、チームで勉強したり学んだりするケースが少ないように感じています。会社からは新商品・サービスのリリースに伴い、「カタログ」や「説明資料」は、営業推進部門から送られてきますが、この後の対応は営業部門に任されます。「結果管理の会議」を頻繁に行うぐらいでなら、チームで学ぶ場を作った方が、はるかに営業活動に役立ちます。手順としては、①カタログ、取扱説明書、販促資料(マニュアル)などの会社の資料を各自で読み込む。②性能、機能、特徴価格、市場戦略をチームで話し合う。③勉強会を開催する。開発担当者、営業スタッフからの説明を聞く。営業スタッフは、資料の作成と配布が済めば仕事が終わったと考える人もいますが、営業パーソンが理解するまでが仕事です。こうした勉強会は、半日もあれば可能です。後の営業活動ことを考えれば、わずかな手間です。

・「A2.2 自社商品のポジショニングの比較」: 新商品・サービスが出たときの主な販売対象先は、①自社からのリプレース(入れ替え)。②他社からのリプレース。③新規の販売になります。①②は、従来の商品・サービスとの違いを理解しておく必要があります。③は、従来と違う、まったく新しい商品・サービスの販売の時に起きますが、あまりないケースです。①の自社商品からのリプレースであれば、価格と性能以外は大きな違いがないと思いますが、②の他社の商品であれば、価格や性能以外でも色々と違いがありますから、事前に比較して理解しておくことは必要です。一例として、マーケティングミックスの企業視点の4P「Product(製品)」、「Price(価格)」、「Promotion(プロモーション)」、「Place(流通≒チャネル)」と、顧客視点の4C「顧客価値(Customer Value)」、「コスト(Cost)」、「利便性(Convenience)」、「コミュニケーション(Communication)」とで比較すると、多面的な比較が可能になります。これもチームで話し合うと、多様な見方の意見が出ます。
・「A2.3 アピールポイントの整理」: 自社の商品・サービスのアピールポイントを考える主なメソッド`(方法)は2つあります。①USP(Unique Selling Proposition)と②Feature and Benefit and Unique (Personal) Benefitです。①USPとは、簡単に言うと「一口で説明できる売り文句」です。代表的なUSPは、牛丼チェーンの「うまい、安い、早い」です。前職では②のF&B&UBを学んできましたので、こちらを主にご説明します。「Feature」とは、カタログや、HPなど、公開されている機能や特徴などです。「Benefit」とは、機能によってもたらされる、一般的な利点のことです。「Unique (Personal) Benefit」とは、その利点によって可能な個別の(個人的な)欲求(Needs)への解決策への提示になります。説明の手順は「○○は~~の機能があります。」「ですから△△することが出来ます。」「ということは、××の時、役に立ちます。」のような手順で説明します。例えば、アマゾンのサイトは「多くの商品が検索で注文できる機能があります。」「ですから欲しいもの買うためにわざわざお店に行かなくても注文できます。」「ということは、~~で忙しい時でも欲しいものが注文できます」のような手順で考えます。Unique (Personal) Benefitは、お客様、企業の個別のニーズからの解決策になります。お客様をイメージして、訪問の時に説明できるように、事前に考えておきます。いくつかのパターンを持っていると説明が楽になります。以前に見た通販会社の社長は、このメソッドの説明がとても上手でした。

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