ロジカルシンキングの原理原則 24 ロジカルシンキングの注意点 無駄な努力

・無駄な努力に注意 : ロジカルな議論が可能なのは、双方とも論理的であり、双方とも問題や課題を論理的に解決したいという思いがあることが前提です。現実にはそんな良い条件で議論できることは稀です。ロジカルな議論を妨げる要因は、いくつもあります。一点目は「感情論」です。「感情論」とは、「理性や理屈ではなく、感情によってなされる意見や議論」を指します。人の判断基準は大きく分けて「好きか嫌いか」「損か得か」「善か悪か」です。感情的に意見を言う人は「好きか嫌いか」で判断しています。とにかく相手が気に食わない、とにかく相手に反対したいことが原因で起こります。感情で判断していますので、論理的に意見を言っても理性的に判断できません。二点目は「正論」「建前論」「べき論」です。「正論」「建前論」ですから、前提は正しいです。しかし「正論」「建前論」「べき論」で議論する人の多くは、「どうしたら問題、課題を解決できるか」の意見を言うのではなく「自分が少しでもリスクや責任を負うことを避けたい」「自分の能力のないことが分かるのを恐れている」「自分が正しいことをとにかく主張したい」ことが原因です。例えば「世界は平和であるべきだ」「すべての国は軍隊を持つべきではない」という意見は、もし実現できれば素晴らしいですが、現実的には夢物語です。いきなりそんな世界が実現するわけもなく、どうしたら少しずつでも実現していけるかの意見が欲しいです。「正論」「建前論」「べき論」を言っている人は、問題・課題に対しての解決策を述べないのなら「きれいごと」です。「自分は正しいことを言っている」ことに自己満足しているだけです。三点目は、「論点のすり替え」です。本来の問題への答えにはなっていない論証を指します。意図的に、議論をはぐらかして、本来議題に上がっていた内容と別の方向に議論を進めようとします。例えば「これからのグローバルな時代には、英語教育を充実させる必要がある」の意見に「日本語より、英語が重要だというのですか」とか「日本人なら、もっとしっかりとした日本語教育をすべきだ」のような反論を読むことが有ります。最初の意見のどこにも「日本語より英語が大事」とも「日本語教育をおろそかにして良い」とも言っていません。このような反論は数多く見かけます。最近は「論点のはぐらかし」も散見されます。最初から議論するつもりも回答するつもりもありません。四点目は、「決めつけ」です。決めつけとは、周りの意見や判断を受け入れず、一方的に行った判断です。企業の中では「やるだけ無駄だ」とか「できるわけない」などと「理由や根拠の説明」もなく一方的に否定的な結論を押し付けられることが有ります。ドラマの中で「馬鹿とブスこそ東大に行け」(今の時代本当にこんな発言をしたらかなり高リスクです)のセリフがありました。これも「決めつけ」ですが、ちゃんと「理由や根拠」を説明しているから、人は納得します。最近メディアで「デマ」「陰謀論」「因果関係は認められない」のような意見をよく見かけますが、「理由や根拠」が説明されることはありません。主張するなら「理由や根拠」を説明する義務があると考えています。説明されないならば、「理由や根拠」を自分で調べて判断するしかありません。ロジカルな議論を妨げている要因は、まだまだあると思いますがこのぐらいにしておきます。このような人の多くは、問題課題を解決したいのではなく、とにかく反対したい。とにかく人に自分の重要度を認めさせたい。少しでもリスクを取りたくない。自分の権限を守りたい。病的なまでにマウントを取りたい人たちのように見えます。こういう人たちとロジカルに議論をしようとすることは、忍耐力があり、粘り強い人であれば可能でしょうが、多くは「徒労」「骨折り損のくたびれもうけ」で、かけた時間と労力が無駄になります。議論にかける時間と労力がもったいないです。このような人たちへの一つ対策方法として、友人のコミュニケーション講師は、可能な限り「合わない人には会わない」と教えてくれました。

カテゴリー: エッセイ   この記事のURL