雑筆16 AIの懸念への私見 ①
ChatGPTの普及で、AIに対する懸念や規制の動きが出てきました。主な懸念事項として、生成AIは、①著作権侵害、②偽情報の拡散、③個人情報の流出、④論文などのAIのアウトプットが個人のアウトプットになってしまう。⑤従来の産業、雇用への影響、などが挙げられていますが、私見ですが、いずれも考慮すべき事項ですが、必ずしもAI独自の問題だとは思えません。
① 著作権侵害ですが、著作権とは、「思想又は感情を創作的に表現した著作物」を保護するものとされています。データ(事実)やアイデア(作風や画風)は著作物に含まれません。「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用行為」は著作権者の許諾なく利用できます。このような情報抽出のために著作物を利用する行為は、著作権の対象とならないと考えられています。例えば、私の「マーケティング研修」では、コトラー氏の「マーケティング理論」を使っています。コトラー氏の名前は説明していますが、アイデアなどは、自由に使えてこそ、初めて世の中に広まり、役に立ちます。例えば、著作物などを、そのままコピペして論文などに使うことは「著作権の侵害」にあたりますが、考えを著者の紹介を含めて使用することは問題にならないと考えています。AIは、世界中のデータベースから、知識を抽出して最適解を、回答してくれますので、「著作権」への抵触のリスクは少ないと考えています。AIよりも、むしろインターネット上には、漫画や著作物などを著者の許可もなく、掲載していることがあります。AIよりも、インターネット上の世界の方がはるかに著作権侵害の問題があります。
② 偽情報の拡散ですが、そもそも、AIの回答が、100%正しいという前提が間違っています。世界中の情報から、回答を導き出しますが、元のデータが間違っていれば、回答も間違えます。質問の仕方によっても、質問者の意図しない回答になることもあります。AIの回答は、正しいかどうかを判断するのは人間の役割です。AIの回答は、プログラムやアルゴリズムに基づいて生成されるため、一貫性や客観性があり、個人のバイアスや意図を持ちません。AIは大量のデータを処理し、信頼性の高い情報源からの情報をもとに回答を生成します。そのため、一般的には人間が意図をもって流すフェイクニュースよりも信頼性が高いと言えます。偽情報の拡散に関しては、マスメディアやインターネットの情報の方がはるかに酷いと感じています。
③ 個人情報の流出に関しては、ChatGPTは、そもそも個人情報をほとんど保持していません。対話の記録や閲覧の記録も保持していないはずです。個人情報の記録に関しては、SNSやTikTokやLINEやメールの方がはるかに流出のリスクがあります。個人情報の流出を問題にするならば「マイナ」などは、AIよりはるかに懸念があります。企業からの個人情報の流出は頻繁に起きています。個人情報の流出を問題視するならば、まずは企業や公的機関が保持している個人情報に関して、より一層セキュリティを強化することから始める必要があります。セキュリティの教育も必要です。
④ 論文などのAIのアウトプットが個人のアウトプットになってしまうことの懸念に関しては、何がそれほど問題なのかぎもんを感じています。そもそもどんな論文やアイデアなども、0から考えることはありません。今では過去の知識や著作物やインターネットで検索して調べます。それにAIが加わっただけです。より最終の論文に近い形のものがアウトプットとして出来そうですが、AIのアウトプットは、単なる情報です。それを人が理解して初めて知識になります。それは、個人の責任の範囲です。AIの利便性に比べたら、とるに足らない問題です。包丁が人に危害をくわえるために使われる危険性があるから使わない方が良い。自動車は事故の危険があるから使わない方が良い。と言う意見と同様だと感じています。多くの人は、危険性に対しては充分考慮した上で使用しています。トヨタ自動車の豊田章男社長は、「自動運転で自動車事故の0を目指す。」と言っていました。AIは社会全体の利便性を高めます。
⑤ 従来の産業、雇用への影響に関しては、インターネットの発達で、アナログの社会から、デジタル社会への変革したことにより、すでに多くの産業が衰退するとともに、多くの産業が生まれてきました。Amazonにより、街から書店が消えました。情報がデジタル配信になり、レンタルビデオ屋さんが無くなり、新聞が衰退しました。逆に、インターネットを利用したプラットフォーマーの産業が隆盛です。YouTuberもインターネットがあるから存在しています。技術革新により、従来の産業が衰退し、新しい産業が生まれるのは、必然の流れです。
まだまだあるかもしれませんが、私が目にする主な懸念事項は以上です。
私が考える、AIを推進したくない人たち(組織)の、一番の懸念は、従来保持している既得権と権限を失うことだと考えています。インターネットの発展により、多くの情報を検索することができるようになりました。前にマスコミの人の「世論をコントロールすることが難しくなった。」「流行を作ることが難しくなった。」などの発言を読んだことがあります。コロナで「日本人は同調圧力が強い」と言う意見も随分見ましたが、それでもネットでは多くの意見や見解が検索できました。それをどう判断するかは個人の自由です。情報発信をマスコミが独占していた時代に比べたら、はるかに検討する選択肢が増えました。各種の「世論調査」のデータがメディアで流れますが、どれくらいの人がそれをそのまま信じているのかは疑問です。ワイドナショーのニュースを見ている人も減りました。情報を伝える自由、伝えない自由の権利を、自分たちの都合の良い様に解釈して行使しています。マスコミは、「自分たちが、伝えたい情報を、伝えたいように、伝えたい人たちに向けて伝えています」。何を伝えるかの判断基準は、スポンサーの利益や権力組織の既得権だと感じています。利害関係を考慮し、自分たちの利益のある組織に忖度しています。もともと、歴史的に見てマスメディアは、人々をコントロールして、支配するための機能として使われていました。AIの発達により、人々は知りたい情報を取得することが、より効率的に簡単になります。特に表立って伝わらないような情報も、AIにより明らかになることも起こります。情報をコントロールしたい人や組織にとっては不都合な事態です。
