嫉妬 LM84

テレビは10年以上見ていませんでしたが、コロナの自粛からGyaoのパライティにはまりました。最初のきっかけは前回のM1を見てからです。最近のお気に入りは「マツコ会議」です。10代の若者のクリエイティブな活動を取り上げている回は特に面白いです。スマホで映画を撮っている若者もいれば、一人で作詞作曲から配信までしている若者、ミュージックビデオを作成している若者、起業までしている若者までいます。今の若者は僕が若いころには考えられないような自由さと可能性を持っています。
昔は(ちょっと以前のことが、こんな表現がぴったりする時代です)もしレコードを出したいと考えれば(僕はそんなことを考えたことは一度もありませんが)、レコード会社のオーデションを受けるか、デモテープを作って送ります。上手くいけばレコード会社やプロダクションに所属できます。活動はプロデュサーの意向に従う必要があります。社内審査に合格すれば、多くの演奏家に演奏してもらいスタジオで録音します。そしてレコードが制作され店頭に並びます。プロモーションで地方巡業もします。多くのステップと多くの人手と多くの時間と多くのお金をかけて、ようやく社会に自分の音楽が発信できます。それが今では、スマホで自分一人で作詞作曲と撮影をして、YouTubeにあげれば曲を社会に発信できます。そうした曲がヒットしています。
iPhoneが販売されたのは2007年です。インターネットが商業利用され始めた1990年以降に生まれた世代を「デジタルネイティブ」と表現しますが、今の10代は「iPhoneネイティブ」「スマホ世代」と言えると思います。体の一部、五感の一部のようにスマホを使っています。TikTokが世の中に出た時に「そんなもの誰が使うの?」と僕は思いましたが、多くの若者が使っています。次から次と新しいテクノロジーが出てきます。過去の経験や知識や常識では対応しきれません。新しいものをどんどん吸収できる若者の方が、これからの社会で活躍できます。
僕が若かったころは、良い大学に入って、大手の会社に就職がすることが、安定した生活の保障でした。一度入社した会社は定年まで勤めるのが普通でした。そのためには興味のない勉強もしますし、組織の理不尽さも我慢します。今の若者にはそんな価値観の制約は全く感じません。かといって反発や力みも感じません。しなやかです。自分やりたいこと得意なことを見つけて一生懸命努力しています。たとえ上手く行かなくても次の目標を見つけて前に進みます。そうした若者を見ていると、うらやましいとも格好いいとも感じます。
僕の世代は人に勝つこと人より豊かになることは人生の目標の一つでした。今は欲望に縛られた大人の格好悪さ、生きる不自由さを感じます、そんな大人の価値観で若者を批判したり判断したりするのは間違っています。今の若者に人よりお金持ちになりたいとか偉くなりたいとか張り合う気持ちをあまり感じません。それよりも自分らしくありたいとか、心豊かに生きたいとかの願望を強く感じます。技術の進歩がうらやましです。精神的にもうらやましいです。そして何より若者たちの才能に嫉妬しています。

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