事業創出の原理原則17 事業の実現可能性分析 – 事業の仕組み化②

「新規事業」の基本は「ゼロベース」で考えることです。出来ない理由を捨てて、自由に発想することです。そもそも新規事業は「千三つ」と言われています。1,000個立ち上げて、うまくいくのは3つぐらいしかないほどに難しいという意味です。「新規事業」は、成功率は低いのが前提です。その中で「駄目な理由」を挙げたら、数限りなく出てきます。結果的に「やらない」と言う結論にしかなりません。「新規事業」の失敗で、基盤事業が傾くことは問題ですが、影響のない範囲を見定めて始める以外の方法はありません。商社の人は良く「小さく生んで、大きく育てる」と言います。「初期の投資は、出来るだけ少なくして、うまくいくようであれば、さらに資本を追加投入して拡大する。」と言う意味です。「新規事業」を初期に考える時には、「ゼロベース」ですから、最初は「常識・法律・予算・人・組織などの問題」なども排除して考えます。最初から「駄目な理由」を延々と説明する人はいますが、リスクを取りたくないだけです。時間の無駄です。みんなで、どうすればうまくいくかを議論することが「建設的な議論」です。

・新規事業の発想法 : ①自分の関心のあるテーマを取り上げる。自身の情熱が持てるテーマは何か?日本を代表する大企業のソニーもホンダも京セラも日本電産もともとはベンチャーです。ほとんど資本も人も何もないところから始めています。経営者の本を読むと、何回も経営危機があり倒産しそうになったこともあります。ずっと順調に発展している企業を私は知りません。スタートアップ企業は、人もお金も技術も情報も製品も販売先もないところから始まります。とうぜん多くのリスクの中で経営していかなければなりません。トラブルに合った時にあきらめずに事業を継続するためには、経営者の「なんとしてでもこの事業をやりたい」と思う強い情熱が必要です。②問題の本質を掘り下げる。なぜ?どうして? 本当に?常識を疑う。私たちは多くの既成概念「常識」の中で生活しています。常識は時に「それは当たり前。」や「どうしようもない。」と思い、「思考停止」状態になります。例えば、私はつい「世界は戦争が起きるのはしょうがない」「世界に貧困があるのはしょうがない」と考えてしまいます。でも、もし世界中の人が一人残らず「戦争はしたくない」「貧困をなくしたい」と真剣に思ったら解決するはずです。世の中は、どうしようもないとあきらめている問題が山積みです。その「問題」に対して、なぜそうなるの?どうして起きるの?と問題の本質を掘り下げて考えることで新規事業が生まれるきっかけになります。③自社(自分)の強みを分解する。多面的に、ゼロベースで、他人目線で考えてみる。ビジネスは自社(自分)の「強み」で勝負するしかありません。森岡氏も「弱みで勝負して勝った人を見たことがない。」と言っています。「強み」を辞書で引くと、「強いこと。 強さの度合。 頼りになるすぐれた点。 長所(a strong point)」と定義しています。「強み」を生みただす要因は、他との比較で生まれます。他との相対関係になります。例えば、多くの人が持っていない難易度の高い資格を持っていれば、それはその人の強みになります。飛行機の免許の方が、自動車免許より、必要に応じてですが、仕事の「強み」になります。資格や学歴や技能などの「強み」は、人との比較が可能ですから、自分でも自覚できますが、本人が意識していない「強み」もたくさんあります。例えば、その人の性格や考え方やキャリアや体質から生み出される「強み」は、本人にとっては当たり前のことで自覚できない場合もあります。「明るい性格、前向きな性格」は「強み」です。大企業の創業者には、「家が貧しかった人」がたくさんいます。そのため「豊かになりたい」や「親孝行がしたい」との強い思いがあったから成功したと思います。「家が貧しかった」ことは「強み」ではないですが、そこから生まれた「思い」は強みです。④自社(自分)の土俵で戦う。 勝てる分野・ルールが作れる分野を作って戦う。新規事業には、通常多くの競合相手がいます。参入しようとする市場には、大手企業がすでにいることが多いです。その場合の大手企業と競争するときの手法として、戦う土俵を小さくすることです。自社の「強み」を生かせる分野にリソースを集中して特化します。一点突破の発想です。例えば、飲食業に参入しようとする場合、全ての飲食は出来ませんから、「中華」に絞り、そこから「ラーメンと餃子」に絞り、ラーメンは「魚介類のスープ」に絞るなどは、通常行われている手法です。「かつお節ご飯」だけに絞っているユニークなお店もあります。マツダは、現在は「中型乗用車」の内燃エンジン(ガソリンとジーゼル)に絞って展開しています。「市場」の中にある要素を限定して、自社が戦える市場を作る、競争する領域を減らしていく「マイナス」の発想です。⑤ ブリコラージュ(器用仕事)思考をする。持っているリソースで差別化を創造する。リコラージュ(Bricolage)とは、フランス語の「Bricoler」(素人仕事をする、日曜大工をする)から、ありあわせの手段・道具でやりくりすること意味しています。日本語では「器用仕事」と訳されます。新規に全く新しく独創的なものを作るのではなくて、すでにあるもの、持っているものを組み合わせて、新規に差別化できる価値を作ることです。例えば、私の仕事は、広い範囲で見れば「研修とコンサルタント」です。その領域で働いている人は世の中にはたくさんいます。その中で、「事業のプロジェクトマネジメント」ができる人は絞られます。それプラス「営業プロセス」「マーケッティング」を合わせてできる人はさらに絞られます。さらに、実際に企業で「新規事業」や「営業」や「マネジメント」を経験したことのある人はずっと少なくなります。1つ1つの知識やスキルは特別なものではないですが、組み合わせによって「付加価値」を生み出すことは可能です。実際、「事業のプロジェクト」と「営業現場」を理解している講師と言うことで、仕事のオーダーをいただいたこともあります。⑥面白いか、面白くないか?それが実現できたらワクワクするか?実際に新規事業のスタートは不確定要素ばかりですから、予想も出来ないトラブルや苦労の連続です。思い通りにいかないことだらけです。その中で仕事を続けるためには、「心理的健康」を保たないとなりません。その心のよりどころは、「自分の好きなことをやっている。自分の特徴を生かせている。もし上手くいったら楽しい。」と思えることが必要です。個人的には、「開き直れる強さ」も重要だと思っています。TEDでイーロン・マスクのインタビューを見ました。SpaceXの立ち上げの時は、すでに大金持ちでしたが、それでも事業継続のために資金が無くなり、友人に借金したと言っていました。宇宙進出はイーロン・マスクが「ワクワク」する事業だから続けられました。ホンダの三部社長は、テレビ番組で「イノベーションは、やってやるという、やる気が源泉」と言っています。スノーピークの山井太会長は「好きなことだけ!を仕事にする経営」を書いています。「ワクワク」しない仕事では「やる気」が起きません。

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