プロジェクトマネジメントの原理原則3 プロジェクトマネジメントの概要2

・プロジェクトの3大制約条件 : プロジェクトの目標を達成するために特に重要な条件、範囲(スコープ)、納期(スケジュール)、予算(コスト)の3つの要因を3大制約条件(Triple Constraints)といいます。スコープ(Scope)とは「プロジェクトの内容の範囲を定義したもの」を指します。プロジェクトを進めていくうえで、何らかの調整を考える局面が必ずあります。その状況で3大制約条件のすべてを完璧に満たそうとすると「頑張る」「必死にやる」しか手が無くなります。この3条件の中で、「最優先(絶対必要)」「次に重要(努力目標)」「容認(調整可能)」は何かを考える必要があります。優先順位を決めないと手が打てません。コストの調整が可能か、納期の調整が可能か、規模の調整が可能かを考えます。例えば、先日のオリンピックは当初の予算より大幅に予算が超過したとの記事がありました。誰が判断して許可しているのか見えませんが、「コストは容認」されています。優先順位を決めることは、マネジメントの重要な仕事の1つです。プロジェクトマネジメントでは、ベースライン(基準計画)が3つあります。スコープベースラインとスケジュールベースラインとコストベースラインです。3大制約条件と重なります。昔の3大制約条件は「Scope 、Time、Resource」の表現もありましたがが、最近は「QCD」が一般的になっています。ほぼ近い内容ですし、QCDの方が分かりやすいためだと思います。
・成果物(Deliverable) : 「プロジェクトで何が一番大事ですか?」と質問されたら、僕は「成果物」と答えます。成果物とは「プロセス、フェーズ、プロジェクトを完了するために生成されている、固有で検証可能な、プロダクト、所産、サービス遂行能力」です。プロジェクトは「成果物」を作り出すための活動です。プロジェクトは「成果物」の完成がGoolです。初期の段階で成果物のイメージが出来ているプロジェクトはうまくいく可能性が高いですが、そうでないプロジェクトは失敗の可能性が高いです。前はプロジェクト終了時の成果物を「最終成果物」、活動の中で作られるパーツ的な成果物を「要素成果物」と表現していましたが、今は「成果物」で統一されています。例えば「EV自動車開発プロジェクト」の最終成果物は「EV自動車」ですが「モーター・電池・ソフトウェア・ボディ・内装など」が要素成果物になります。個人的には、こちらの表現の方が分かりやすいと考えています。成果物は、プロジェクトで作り出すものですから「人の活動で作り出せる具体的なもの」である必要があります。現場のプロジェクトを見ると、結構あいまいな成果物を挙げています。前にご相談いただいたプロジェクトに「社内意識改革プロジェクト」がありました。成果物を聞くと「社員のモチベーションアップと働き甲斐」でした。直接活動で作り出せないものでしたので「成果物」としては適切でないとアドバイスしました。それともう1つのアドバイスとして、成果物を決める時には出来るだけ「シンプルで具体的なものに絞る」ことをお勧めしています。例えば、「EV自動車」の開発プロジェクトの時に「一回の充電で200キロ以上走行でき、充電時間は2時間以内、価格は500万円以下のEV自動車」を最終成果物するのではなく、最終成果物は「EV自動車」として、その「成功の判断基準」として「一回の充電で200キロ以上走行できる」「充電時間は2時間以内」「価格は500万円以下」と項目に分けて整理したほうが分かりやすいです。項目を分けないと、同時並行的に複数の要素を検討してしまいまとまらなくなります。「成功の判断基準」として分けておけば一つの条件ごとにクリアするように考えることが可能になります。成果物をチェックする指標として、SMARTモデルがあります。「Specific(具体的か)Measurable(測定可能か)Achievable(同意されているか)Realistic(実現可能か)Time-bound(納期はきめられているか)」の5つのポイントで成果物をチェックして、もし欠けているポイントがあれば、それを明確にします。

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