「F.継続活動(Follow)」は、契約していただいたお客様に対して、取引を維持拡大するためのフェーズです。「F.継続活動(Follow)」の下位のレベル2は、「F1.契約後の活動」と「F2.お客様への活動計画」と「F3.お客様情報の記録」の3つに分けました。「F3 お客様情報の記録」下位のレベル3は、「F3.1 お客様データベースの作成」と「F3.2 お客様データベースの更新」の2つに分けました。
・F3.1 お客様データベースの作成 : 営業活動で分かった顧客情報や営業活動の記録などをお客様ごとに一元管理します。お客様の情報を「顧客マスタ」「顧客プロファイル」、商談の経緯を「取引履歴」や「トランザクション」などと表現している企業もあります。お客様の情報を、組織の情報資産とするために、顧客情報を管理する方法を決めます。手順としては次のようになります。①商談のデータを集める。営業パーソンの営業活動によって分かったこと、提案書などの作成した資料も集めます。準備活動で調べた顧客情報や営業活動間中で分かった顧客情報や営業活動で作成した資料を整理します。②顧客データベースを作成します。顧客データベースを作成する対象顧客とデータの保管方法を決めます。紙によるファイリングのフォルダー。サーバーの文書管理ソフトの使用。CRM(Customer Relationship Management)ソフトによる管理などがあります。個人的には、サーバーでのフォルダー管理の手間が無くて簡単で良いと思います。データベース化していないと、多くの営業活動の記録や顧客の情報が営業パーソンの頭の中にしか存在しないことになります。商談も営業パーソンとお客様との個人的な関係の中で進んでいきます。つまり属人的な記憶の中にしか、商談の経緯がないことになります。そのため組織として①営業パーソン変更が難しくなり、キャリアパスでの移動が困難になる。②営業担当者が退職した場合、顧客の情報がどこにもない。③営業パーソンの活動がブラックボックス化しており、組織として管理されていない。などの多くの問題が発生します。それらの問題を解決するために、お客様に対する売り上げなどの数値情報以外に、営業パーソンの活動の経緯や提案内容は、会社の情報資産としてデータベース化します。「顧客マスタ」を作成する時の、基になる情報は、一般的に公開されている情報です。顧客のホームページや四季報、企業情報、会社案内などで取得可能な情報です。最近のホームページでは、決算報告書や株主に対する短期決算情報なども公開している会社が増えてきました。お客様の市場環境や課題、将来の計画なども知ることができます。お客様の業績や課題は、継続的に記録として残しておき、まとめて管理し、時間の経過を追って確認できるようにしておきます。①「顧客マスタ」と②「取引履歴」の具体的な内容は次のようなものがあります。①顧客の公開された情報(事業情報、静態情報とも呼ばれています)。会社概要、企業理念、組織、業績の推移、企業の課題、その他の企業情報。②営業活動で発生した情報(活動情報、動態情報とも呼ばれています)営業活動の活動記録になります。取引額の推移(取引額、取引品目、自社との取引)、人脈:担当者、決裁者、決済ルート、提案内容(提案内容の資料)、競合情報(予想取引額、バーター、政治的要因)、営業活動情報(今回の営業活の動経過)、提案の結果(商談の結果内容、金額、勝敗、理由 )などの情報をまとめて、ファイル・サーバーの文書管理のツールで保管すると便利です。関係するセクションの人には閲覧権限を与えて共有化しておきます。顧客情報の変更権限などを持つオーナーは、お客様の担当営業パーソンになります。顧客データベースは、営業マネジャーが営業パーソンと今期の計画を検討する時の基本となる情報にもなります。
・顧客データベースを更新する : 顧客データベースの更新は、営業パーソンの自主性に任せるのではなく、組織としての仕組みを作る必要があります。そのために、顧客データベースに基づいて、顧客の営業活動を計画する。組織として顧客に対する計画に対するレビューを実施する。顧客の担当営業パーソンが変更される時の引継ぎ書として活用するようにします。顧客データベースは作ることが目的ではありません。営業活動に生かすためのものです。そのための仕組みを組織として作る必要があります。すべてのお客様に対して、顧客のデータベースを作ることは作業時間やコストが増えてしまい営業活動にも支障が出てしまい、現実的ではありません。企業として特に大切な顧客、売り上げの多いお客、今後取引を拡大したい顧客、商談内容が複雑で記録が必要な顧客に対しては、顧客データベースを作成します。顧客データベースは作成して管理するだけでは、すぐに陳腐化して役に立たなくなります。顧客データベースを管理するうえで、とくに重点顧客に対しては、半年に1回か年に1回は、内容を更新します。そのための仕組みとしては、組織としても情報を共有化するため、1年に1~2回はレビー会を実施します。営業パーソンは顧客データベースを次のようなスケジュールで更新します。①期初。期がはじまる前までに重点顧客に対する今期の営業計画を作成します。②期中。期の途中でも、営業活動の経緯や新たに分かった情報や作成した提案資料などをフォルダーに追加します。③期末。期が終わった時には、計画から実績をレビーします。うまくいかなかった点、うまくいった点をまとめます。前職の会社は顧客データベースの発表会を開催していました。毎期の初めに部門全員と役員に対して、先期の営業活動結果のレビーと今年1年の活動計画のプレゼントを実施していました。営業パーソンは、お互いの営業活動の内容を案外知りません。知ることで水平展開できる活動もあります。そしてその場で部門の中で顧客情報が共有できます。このような会社としての取り組みを行うことにより、常に顧客情報が常に最新に更新され、顧客データベースが営業活動の情報として有効なものになります。顧客データベースを活用することにより、場当たり的な営業活動ではなく計画的な営業活動を組織的に行うことが可能になります。
「1:5の法則」は、新規顧客に販売するコストは既存顧客に販売するコストの5倍かかるという法則です。「5:25の法則」は、顧客離れを5%改善すれば、利益が最低でも25%改善されるという法則です。新規顧客を獲得するためのコストは既存顧客を維持するためのコストの7倍以上かかると言われています。平均的な企業は、年間に10~20%の既存顧客を失っているとのデータもあります。それにもかかわらず、多くの企業は新規顧客の獲得に注力し、既存顧客の維持や取引拡大にはリソースをあまり割きません。営業パーソンは、既存顧客の売上より、新規顧客の売り上げで評価されることが多いです。しかし、既存顧客の損失で失った利益を新規顧客でカバーすることは困難です。企業の利益の多くは、既存顧客からもたらされます。ラーメン屋さんでも、アミューズメントでも、どんな企業でも、リピーターがあって初めて事業が成り立っています。
マーケティングにおいて顧客の欲求を表す言葉に「ニーズ(Needs)」と「ウォンツ(Wants)」があります。ニーズとは、「欲求が満たされていない状態。何かが不足している状態」不足状態から沸き起こる欲求のことです。ニーズは顕在ニーズと潜在ニーズの2つに分類できます。ウォンツとは、「ニーズを満たしてくれる特定のモノに対する欲求」です。ニーズは不足部分を補う「目的」、ウォンツは不足部分を補う「手段」という違いがあります。私は、ニーズは「顕在化した欲求」。ウォンツは「潜在的な欲求」と教わった記憶がありますが、思い違いのようです。「顕在化した欲求」は、すでにお客様が必要性を感じて、欲しいものをある程度具体的に意識している状態です。ですから提案は、顕在化された要求、顕在化された課題に対する解決策になります。お客様はその欲求(要求)に応じた商品を検討します。お客様は各社から提示された情報もとに比較します。お客様は、課題に対する解決策も、ある程度イメージしています。この状況で営業パーソンができる主なことは、他社の商品と比較して、自社の商品の性能と利点や価格の優位性を説明することです。この状況では顧客主導の検討になります。多くの場合、顧客の要求仕様に最も近い商品、費用対効果が最も高いと判断された商品が選ばれます。営業パーソンの「何か、問題はございませんか?」という質問は、顧客が意識している問題を聞き出す質問ですから、顧客の顕在ニーズを把握するための質問になります。
潜在的なニーズは。お客様は自社の課題は漠然と感じていても、それを具体的な改善すべき課題として認識していない状況です。営業パーソンは、顧客の潜在的な欲求、潜在的な課題に対する解決策を提案していきます。ですから、営業パーソンは、顧客の市場環境や経営環境や経営課題を理解していなければ提案は出来ません。「顧客データベース」が必要になります。そこからお客様の課題を推測し、推測が正しいかをお客様に確認します。課題の認識が正しことが確認できたら、次にその課題に対して解決策を提案していきます。検討に進むプロセスは営業パーソンが主体か、もしくはお客様との共同作業になります。多くの場合、検討段階では営業パーソンの提案が中心となり、商談も有利に進めることができます。「○○のような、課題がおありでないでしょうか?」という質問は、営業パーソンがお客様の課題を仮説しての質問ですから、顧客の潜在ニーズを確認するための質問になります。
顕在ニーズに対する提案の場合、営業パーソンは、取引先、ベンダーの1社になりますが、潜在ニーズに対する提案は、お客様との共同作業になった場合は、パートナーとしての立場になります。ですから商談も有利に進めることが可能になります。
