2021年7月に、英語版のPMBOK第7版が出版されました。PMBOKとは、プロジェクトマネジメント標準知識体系PMBOK Guide(Project Management Body of Knowledge)の頭文字をとったものです。「ピンボック」と呼びます。プロジェクトマネジメントに要求される、各種のマネジメントのための知識を体系的にまとめたものです。1969年に設立されたプロジェクトマネジメントの協会、PMI(Project Management Institute)が作成しています。世界最大の非営利団体の一つと言われています。2021年6月の会員数は約655千人です。最も知られているプロジェクトマネージャ認定資格が、PMIが認定するPMP® (Project Management Professional)です。PMPの資格を保有者は、全世界で約1,145千人、日本は38千人です。一番多いのが米国、次に中国でともに30万人以上と言われています。PMBOKは最も世界的に普及しているプロジェクトマネジメントの知識体系です。PMBOKはおおよそ4年に一度オリンピックの年に改訂されます。初版は1996年に出されました。今回の第7版は、第1~6版までの内容と大きく変更されました。第6版までは、プロセス思考です。プロジェクトを「立上げ」「計画」「実行」「監視とコントロール」「終結」のプロセス群に分けています。そのプロセスに沿ってプロジェクトに必要な知識を10の知識エリアに分けています。第6版は全体をさらに49の細かな活動のプロセスに分けてあります。各プロセスは、「インプット(情報)」⇒「ツールと技法」⇒「アウトプット(情報)」の活動と作成するドキュメントが説明されています。今回の第7版の変更点は、「プロセスベース」から「原則ベース」に変更されました。大きな変更理由は「プロジェクトマネジメントの進化より、プロセスベースでは、価値提供の反映が困難なため原則ベースに移行」です。「ただし過去のプロセスベースとの整合性を否定するものではない」と言っています。従来の第6版は、デジタルコンテンツとして継続的に残るようです。ここからは僕の個人的な感想意見です。原則の内容を見てみると「建前論・あるべき論」です。学術的な色彩が強くなりました。例えばプロジェクトマネジメントのチームの原則では「協働的なプロジェクトチーム環境を創ること」。価値提供では「組織はステークホルダーのために価値を創造する」と書いてありました。How toは書いてありません。私は長年、ビジネスの現場にいます。学術的であることは大切だと思いますが、実務で役立つことが更に大切だと思っています。プロジェクトマネジメントの研修講師やコンサルタントとして、組織の共通のプロセスや手法やドキュメントを導入して、組織のプロジェクトマネジメント能力を高める活動をしてきました。お客様にPMBOKの学習やPMP資格取得も進めてきましたが、第7版を学習しても、実務にあまり役立つとは考えていません。次の第8版ではまたプロセスベースに戻ると勝手に予想しています。第7版は、ITプロジェクトとソフトウェア開発に主眼を置いているように感じています。現場のプロジェクトでは「新商品開発」「新規事業立ち上げ」「イベント企画」「施設の建設」など多くの種類があります。従来のPMBOKは、すべての業種のプロジェクトに適応できます。ですので、今後ともPMBOK第6版準拠で研修とコンサルを続けていきます。実際、多くの日本企業や海外企業では、PMBOKベースで、プロジェクトが進められています。組織の標準プロセスと手法と文書として定着しています。良い機会ですので、しばらくエッセイはプロジェクトマネジメントについて書いていきます。
