「質素倹約」最近はクイズ番組の四文字熟語の問題でしか聞くことがなくなりましたが、僕の子供の頃は普通に使っていました。「質素」は、つましいこと。「倹約」は、無駄遣いをしないこと。ですから「質素倹約」は飾り気がなく、つましく暮らすことです。振り返るとバブルのころからあまり聞かなくなりました。
若い人に「給料やボーナスをもらった時にどうするの?」と聞くと「欲しいものもないから貯金する」や「将来が不安だから貯金をする」が一番多い答えです。堅実だなと感心する半面、せっかくの人生なのだからもっと遊べばいいのにと思っていましたが、今はその考えは間違っていると思っています。最近の若者は「質素倹約」を自然に実行しています。やはり何かあったときの蓄えは必要です。無駄使いや借金をしてまで高価な物を買うのは間違っています。見栄を張った生活より、物に縛られない生活が自由な生き方です。
僕の若いころは、みんな見栄のためにローンで無理して高級車を買っていました。スマホがない時代ですから車にお金を回せました。イソップ寓話「アリとキリギリス」は、アリがキリギリスを助けてあげますが、原典は夏の間に遊んでいたキリギリスは飢え死にしてアリの食料になります。元はアリでなくてセミです。堅実に働くことと貯蓄の重要性を説いています。子供には残酷だということで今の童話になっていますが、現実ではキリギリスを助けるアリの存在は期待できません。
稲盛さんの本を読むと、何回も『入るを量りて、出ずるを制する』の言葉が出てきます。儒教の礼記に記されている利益を出すための基本的な考え方です。収入を計算して、それに見合った支出にする。JAL再建のために収入を増やして、支出を減らしました。財政再建の心がまえです。国の財政は支出を考えてから、収入額を決めています。稲盛さんがJALを再生した方法とは逆の考え方です。JALの再生には、いろいろな施策をしていますが、基本はこの考え方です。二宮尊徳も同じことを言っています。
これから世界中の価値観は大きく変わり、原理原則を大切にする世界になります。飽食の時代は終わります。「質素倹約」の価値観が見直されます。「備えあれば憂いなし」と「質実剛健 (飾り気がなく真面目で、強くしっかりしていること) 」の言葉も思い出しました。無駄遣いを避けて、ものを大切にすることが見直されます。
アフリカ人女性として初のノーベル賞を受賞したケニアのワンガリ・マータイさんは、「もったいない」という日本語を知り、「ものを大切にし、心豊かに生きてきた日本人の心・生き方そのものだ」と感激し、「この言葉を考え直すことで、大量生産・消費型のライフスタイルを変革できる」と考えて「もったいないを世界に」と提唱されました。MOTTAINAIは英語にもなっているようです。「質素倹約」や「もったいない」日本人でさえ忘れかけているようなこの言葉を、もう一度思い出すことで、自分の生き方を見直し心の豊かさに繋がります。地球環境の問題にも良い影響を与えます。
