この童話は、私が勝手にメンターだと思っている福島正伸さんから、ずっと前に聞いた話を、記憶でまとめたものです。天命にもつながる童話です。
あるところに、生まれたときからずっと体に重い障害を持った理沙ちゃんという女の子がいました。そのため、自分では起き上がることも出来ませんでした。すっと病院のベッドで寝たままです。そうして大きくなりました。
体には、いつも何本ものパイプやチューブが繋がれています。体は不自由でしたが、とても心の優しい子女の子で、いつも周りの人の事を気にかけていました。理沙ちゃんが、自分の体のことよりも何よりも、一番悲しいことは、病院にお見舞いに来てくれるお母さんが、理沙ちゃんを見るたびに、いつも涙を流して、悲しむことでした。
理沙ちゃんはそんなお母さんに心配をかけまいと、我慢できないくらい痛い時でも、お母さんがいる間は、明るく平気そうに振舞い、決して弱音は吐きませんでした。けれでも、お母さん帰った後、看護婦さんにだけは「いたい、いたい」と言って泣いてしまいす。
これからお話しする童話は、そんな理沙ちゃんが、少しでもお母さんに元気になってもらいたいと、一生懸命考えて、お母さんに話したお話です。理沙ちゃんが生まれる前についての童話です。
人は、生まれる前に、だれでも神様の前で出て、プレゼントを貰うの。
プレゼントは、生まれた時に、どんな人にもなるかが決まっている運命の入った箱なの。
ある人は、お金持ちの家に生まれたいとお願いし、ある人は、美人に生まれたいとお願いし、ある人は、スポーツや音楽が得意な人に生まれたいとお願いして。
そして、その願いがかなう運命が入った箱を、神様からプレゼントしてもらって、生まれてくるの。
私の順番が来たときに、神様の後ろに隠すように一つの箱があることに気がついたの。
その箱を見て神様に「その箱の中には、どんな運命が、入っているのですか?」と聞いたの。
そしたら神様は、
「この箱は、特別の箱だから普通の人にはあげられない箱なのだよ」
「この箱の中はとてもつらくて大変な運命が入っている箱だから、一番強くて、やさしい子にしかあげられないのだよ」と言ったの。
それを聞いて「私は、とても強い子ですから、その箱を私にプレゼントしてください。私が貰います」とお願いしたの。
「もし私がその箱を貰わなければ、誰かがその箱を貰わなければならないのでしょ。私はとても強い子ですから私が貰います。どうぞその箱を私にプレゼントしてください」とお願いしたの。
そうして、理沙ちゃんは、神様からその箱をプレゼントしてもらい、重い障害を持って生まれてきました。
「私は、誰よりも強い子だから、障害を持って生まれてきたの。」
「だから、お母さん悲しまないで」
そう、お母さんにお願いしました。
これが、理沙ちゃんが、お母さんを元気付けようとして考えたお話しです。
その童話を聞いた理沙ちゃんのお母さんは、
「理沙ちゃんは、誰よりも強くてやさしい子だからほかの子が、障害を持たないで生まれてくるように、障害を持って生まれてきた」と思えるようになり、以前よりも少しだけ明るくなりました。そして理沙ちゃんのことを人にも話せるようになりました。
いつも理沙ちゃんの顔を見るたびに、涙を流してばかりいたお母さんが、たまに笑顔を見せてくれるようになったのです。
お母さんの笑顔を見るたびにとてもうれしくなって、理沙ちゃんも思わず笑顔になるのでした。
