プロジェクトマネジメントの原理原則9 計画のプロセス群3 コスト・マネジメント、調達マネジメント

今年最後の投稿になります。今年も大変お世話になりました。ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。良い年をお迎えください。
WP(ワーク・パッケージ)の所要期間を見積もるために、「資源マネジメント」の「アクティビティ資源の見積り」のプロセスで、各アクティビティを実行するために必要な、人員、材料、機器、消耗品などの種類と量を見積っています。「コスト・マネジメント」は、組織の手続きとリンクします。母体組織の会計システムとの整合性が定義され、承認済みの予算内で完了させるためのプロセスです。「コスト・マネジメント」の計画プロセスは「コスト・マネジメントの計画」「コストの見積り」「予算の設定」です。「コストの見積り」(必要な予算の見積り)と「予算の設定」(予算を作る作業)は緊密に結びついており、現場では一連の作業で処理されることが一般的です。
・コスト・マネジメントの計画 : コストを見積り、予算化し、支出を監視・コントロールする方針と手順を文書化します。
・コストの見積り : 各WP(ワーク・パッケージ)を完了するために必要な資源の概算金額を算出します。支出する費用の名目を「費目」と表現することもあります。プロジェクトの典型的な費目には、人件費、ソフトウェア費、材料、装置費、管理費、出張費、教育訓練費、広告宣伝費、不動産経費などがあります。最も一般的なコスト見積り技法は、ボトムアップ見積り(WBS/WPなど個別の作業項目を積み上げて、全体予算を見積る方法です。個々のWP(ワーク・パッケージ)のコストを見積り、集計して算出する手法です。段階的詳細化をすることで、見積りの精度は高まります。立ち上げのプロセスでは、概算見積りになります。詳細なデータに基づかない見積りです。推測値が必要なプロジェクト初期段階で行われます。計画プロセスでは、予算見積りになります。概算見積もりよりも詳しいデータに基づいており、初期投資額の算出や承認を得るために用いられます。実行のプロセスでは、発注しますので、確定見積りになります。充分に詳しいデータに基づいて算出されます。そして終結プロセスで実績がでます。
・予算の設定 : 「コスト・ベースライン」を作成し、認可を得るために、WP(ワーク・パッケージ)から見積りを積算します。通常は、ガント・チャート上のWPに、見積もったコストを当てはめて、予算表や予算グラフを作成します。それが組織で承認されるとコスト・ベースラインになります。プロジェクトでは、予備費として、見積った全体の金額の+10%~15%程度加えることが推奨されています。予備費とは、リスクを軽減する目的でプロジェクトマネジメント計画の中にあらかじめ組み込まれた費用です。予備費には、2種類の費用があります。コンティンジェンシー予備(予備費)「プロジェクト・マネジャーの裁量で使える費用」です。組織に追加予算の承認を取るためにプロジェクトが停止することを防ぎます。コスト・ベースラインに含まれます。マネジメント予備「組織として予備でもっている費用」。組織の上層部や発注者の承認により使用できます。コスト・ベースラインに含まれません。プロジェクト外の予期できぬ事態の時に使用します。
・プロジェクト調達マネジメント」は、プロジェクトに必要な物品、サービスを、外部から購入し取得しるプロセデスです。ITプロジェクトなら、開発業務を外注や業務委託することなども含まれます。「プロジェクト調達マネジメント」の計画プロセスは「調達マネジメントの計画」です。 PMBOKでは、調達マネジメントは、購入者(Buyer)と納入者(Seller)の関係を、購入者の観点からとらえています。購入者としての立場で、ベンダーをどう選定し、どう契約して、管理して、契約が終了するかについて定義しています。調達行為に関しては、プロジェクトで行うのではなく、組織の購買部門が関わることもあります。また調達のルールに関しては、契約行為含め社内で規定されていることが大半です。ルールを順守することが求められます。また事業のリスクを回避するために契約で取り決めなければならないことが増えてきました。考慮すべき契約の内容として、秘密保持契約、著作権、知的財産権、損害賠償責任、瑕疵担保責任、中途解約の責任、契約解除の権利などがあります。法務部のリーガルチェックは必要です。
調達マネジメントの計画 : 調達マネジメント計画は、調達するものや調達先の決定方法などを文書化した調達マネジメント計画書を作成するプロセスです。組織の調達ルールを守るのが大前提です。プロジェクトの活動としては「調達作業範囲記述書」を作成します。調達品の詳細を記述したものです。プロジェクトの目標、作業内容、製品の仕様、サービス内容、スケジュールが記述してあります。「調達(入札)文書情報提供依頼書(RFI)、 提案依頼書(RFP)。見積依頼書(RFQ) 」を発行します。「発注先選定基準」を決めます。プロポーザルを評価するための基準、コスト、技術力、ニーズ理解力、実績、安定性。が挙げられています。他、PMBOKでは、契約のタイプを検討することが挙げられています。日本では「一括(定額)請負契約」が一般的ですが、欧米では色々なタイプの契約形態があります。例えば、早く終わればインセンティブを出す契約。遅れた場合ペナルティがある契約。実費+報酬比率の契約、経済の変動に合わせた契約などです。契約条件は絶対のルールです。T社が企業解体した原因は契約内容にあります。原発の建設の時の契約は「固定価格オプション」と言われています。予定価格より超過したコストのすべてを受注者側(T社)が負担するという内容です。東北の原発事故の影響で大幅な見直しがあり、超過コストが7,000億円超になりました。ガバナンス上特に問題なのは、契約内容をごく一部の人しか知らずに、契約をしていることです。日本人は契約内容を甘く考えます。日本以外の交渉の概念は「自社(自分)の利益の最大化を目指す」です。日本人のように「双方歩み寄って落としどころを探る」のような考え方はありません。この概念の違いが「日本人は交渉力が弱い」と言われる一因です。日本の契約条項に有って、海外の契約書には絶対ない条文があります。一般的には「誠意条項」と呼ばれている条文です。条文は「なにか問題が起きたときには、双方誠意をもって話し合い解決につなげる」です。外国人に「おたがいの利益が相反している時に話し合いで解決できるのですか?」と問われました。日本以外の契約書では、「瑕疵担保条項(かしたんぽじょうこう)」と言われる、契約の目的物に瑕疵があった際の担保責任(賠償金額など)を定めた条項が細かく規定されています。ですから外資の契約書は厚いです。

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