バタフライ・エフェクト LM82

バタフライ・エフェクト(効果)とは、非常に小さな出来事が様々な要因を引き起こし、だんだんと大きな現象へと変化することを指す言葉です。この概念を最初に発表した気象学者エドワード・ローレンツの講演の題名『ブラジルでの蝶の羽ばたきはテキサスでトルネードを引き起こすか』から来ています。ある場所における蝶の羽ばたきが、遥か遠くの場所の天気を左右する可能性は、気象には数多くの不確定要素が干渉してくるため、どのような状態になるかを予測するのはかなり難しいことです。ですから実際にブラジルでの蝶の羽ばたきがテキサスにトルネードを起こす原因に繋がらないとは否定出来ないということです。

バタフライ・エフェクトは、「どんなに初期の誤差が小さくとも時間経過や組み合わせによって大きな影響が現れ、どんな未来が訪れるかは誰にも判らない」と言う事も意味しています。これは人生観世界観を語る上でも有効で、未来を正確に予測する事は誰にも不可能である事を示す場合に用いられたりします。一匹の蝶が嵐を起こすように、一粒のウィルスが時に歴史を変えるかもしれないという事です。歴史を振り返っても1989年9月に東ドイツのライブチヒの一地区の反体制派の抗議集会が、徐々に拡大して全土に広まり、ひと月足らずでベルリンの壁が崩壊しました。

日本電産の永森会長は、小学校の工作の時間に作ったモーターを先生に褒められたことがきっかけでモーターに興味を持ち、世界的なモーターの会社を作り上げました。レストランを何件も経営し、シェフとして有名な方が料理の世界に入るきっかけは、保護者会の家庭科の実習の時にキャベツを上手に切れたことを先生に褒められたことです。母子家庭のため家で料理をしていた経験が生きました。勉強も運動もダメな子でしたが、わが子が褒められたことがうれしくて母親が涙を流して喜んでくれた姿を見たことで料理の世界に進みました。世界的な版画家の棟方志功さんは、極度の近眼で運動も勉強も苦手で成績も悪かったですが、ある時に赴任してきた美術の先生が棟方さんの絵を見て良い成績を付けてくれたのが嬉しくて画家を目指しました。良い成績を付けた理由を聞かれた時に「良い絵か悪い絵か僕には判断できないが、僕が分からないぐらいだからたいしたものなのだろうと思ってよい成績を付けた」と答えています。どちらの先生も、生徒の将来が有望だと思って褒めたわけではないですが、結果的に大会社の社長になり、有名なシェフや版画家になりました、

バタフライ・エフェクトが気象現象に対して起きるかは、僕にはピンときませんが、人と人との関係では、バタフライ・エフェクトが起きると確信しています。何気ない一言が、その人の一生を左右することもあると思えば、肯定的な発言をしようと心掛ける気持ちになります。些細なことが些細でないことを生み出したりします。研修講師として注意すべきことだと意識しています。

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