スピード LM72

本田宗一郎さんは「これから企業が発展するために一番大切なものはアイデアであり、これからは、それにスピードの重要性が増していく」と言っています。今回はスピードについてです。日本企業の弱点の1つは物事を決断するスピードが遅いことです。よく日本の常識は世界の非常識と表現されます。その常識の差は、国々の歴史に起因にします。人類の歴史を見たときに、日本ほど安定して平和だった国はまれです。島国で平和な時代をずっと過ごしてきたので、ほぼ同一言語と同一文化や習慣、宗教的な対立のない国です。そうした環境の中で日本人が一番大切にしているのは、出来るだけ多くの人のコンセンサスを取ることです。論理的な正しさや合理性より、多くの人がどう思うかを重要視します。共感の文化です。僕は日本人ですから、素晴らしい文化だと思っています。しかし世界の多くの国は多民族多文化多言語多宗教の国です。ビジネス活動をしていくために、世界の考え方を理解する必要があります。世界を相手にビジネスをするためには、世界の基準に合わせて、ビジネスのスピードを上げる必要があります。

①ルールを決めて、ルールに沿って進める。欧米は多民族多文化の国です。価値観や判断基準も多様です。アメリカの陪審制度は裁判官の価値観だけで判決を決めるのは不適切と言う考えから生まれたと読んだ記憶があります。アメリカの映画やドラマでは「ルールメーカー」という言葉をよく聞きます。誰がルールを決めているのかという会話です。欧米の基本的な認識に「ルールを決める権限のある人は絶大な力を持つ」があります。多民族多文化多宗教の国ですから、共通のルールを決めてからでなければ、物事を進めることが出来ません。誰がルールを決めるのかによって利害関係が大きく変化します。ルール確認を怠ることはリスクが増大します。

②話し合う目的を明確にする。前職はやや外資系でしたので、欧米と日本の会議を運営する同期に聞いたことがあります。まず会議前にアジェンダを発行し、今回の会議の議題目的や、検討内容、どのような結論を出したいのかを明確にして承認されなければ会議を開催することが出来ないと言っていました。当時は国際通信費が高いこともあったと思いますが、目的が不明確な会議は時間の無駄との意識もあったと思います。「何となく集まって、だらだら話し合って、何の結論もださない」会議を経験してきた僕にとっては羨ましい話です。

③文書化が基本。研修でアメリカのトップの方と話し合ったことがあります。日本人の困ったところは、なんでも口頭で済まそうとすると言っていました。欧米では、何かあった時には、証拠を求めます。「言った、言わない」では、いつまでたっても水掛け論で結論が出ません。ですから文書にまとめることが基本です。日本人のように「何かあった時には、話し合って落としどころを見つけて譲歩して解決する」は、均一性の高い民族だから可能なことです。欧米は自己の利益の最大化を考えるのがスタンスです。契約書に対する考え方も日本人は甘いとか感じています。

そもそも日本の企業のスピードが遅いのは、企業の中でスピードを意識していないからです。スピードを上げるためには目的を明確にする。ルールを決める、プロセスを決めて実行する。文書化して合意する。ことは必要です。ニューノーマルの世界で世界に通用する仕事の進め方には可視化、標準化、プロセス化、ルール化、文書化が必須です。

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