「覚えること」と「考えること」 LM96

能の重要な働きに「覚えること」と「考えること」があります。「覚えること」は、今まである知識を記憶することであり、「考えること」は、知識を組み合わせて、創造的にものを考えることです。どちらも重要な働きです。英単語や文法を知らなければ、そもそも英会話は出来ないですし、数学の公式を知らなければ、数学の問題は解けません。学校のテストは、覚えたことの確認が大部分を占めています。「覚えること」は、記憶するという事であり、過去の知らなかった知識を知る事です。学校のテストでは、記憶力の良い人、正確に覚えている人が良い成績が取れます。
ビジネスの世界では、知っているだけでは、評価されませんし、仕事を遂行していくのも難しいです。その知識を使って、何を生み出せるか?どのように問題解決できるか?が問われます。「覚えること」は、脳の単なる記憶であり、何かを生み出すわけではありません。前に、ソフトバンクの孫社長の講演を聞いた時に、「日本の教育は、覚えることが8割、考えることが2割です。僕は逆にしないといけないと思う」と言っていました。確かに、今まで日本の学校では「考えること」ではなく「覚えたこと」に対して評価をしてきました。日本の学校は、物を覚えさせる場所であり、物を考えさせる場所ではありません。日本の教育は「覚えさせても、考えさせない」という教育でした。「考える」という部分を軽視し、「覚える」を一生懸命やって来ました。
インターネットの出現により、「知っていること」の価値が下がったと言われています。どんな知識でも、せいぜい200円の価値だと言われています。ネットで検索するためにかかる時間の人件費から出しているのかもしれません。ネットには知識があふれていますので、知っていることにあまり価値が無くなりました。デーブラーニングやAIがますます進歩して世界中の最新の知識がすぐに検出できるようになります。人がいちいち調べているのと比較して正確さもスピードも桁違いです。病気の診断などにはすでに使われています。未来は、人間の脳にICチップが埋め込まれ、脳とネットが連動されるという記事を読みました。そうなった時には人は記憶する必要がなくなります。AIで同時翻訳も可能になってきまた。
研修の世界では、少し前までは「アクションラーニング」という表現をよく聞きました。グループで現実の問題に対処し、その解決策を立案・実施していく過程で生じる、実際の行動とそのリフレクション(振り返り)を通じて、個人、そしてグループ・組織の学習する研修方法です。従来の「ケースメソッド」事例をベースに考えるやり方では、今の時代に対応できないというところから生まれてきました。最近はPBLという表現を目にします。PBL(Project Based Learning)は、アクティブラーニングのひとつです。PBLは、日本語では「問題解決型学習」「課題解決型学習」などと訳される勉強法です。この訳には僕は違和感があります。PBLの本来の概念は、「正解のない問題を考える」です。今の時代、ビジネスに正解はないかもしれませんし、逆にいくつもあるかもしれません。今は正解でも、次の瞬間には不正解になることもあります。「問題解決型」の思考より「価値創造型」の思考が必要だとされています。PBLは「価値創造型学習」と訳すのが僕は正しいと考えています。今まで日本は「生産性の向上」をずっと追い求めてきましたが、これからは「創造性の向上」が求められています。僕の研修も正解は出せないかもしれませんが、どうすればよいか「考えること」を重視しています。

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