BtoBセールスの原理原則9 「B.接触活動 (Contact)」-「B1.訪問準備」

「B.接触活動」は、お客様に訪問するための具体的な準備とファーストコンタクトのフェーズです。お客様との最初の面談の印象は重要です。最初の印象を良くするためにできるだけ準備をしておきます。お客様は多忙です、せっかく面談していただいたのに、無駄な時間だと思われたら、そこで営業活動は終了です。レベル1の「B.接触活動」の下位のレベル2は「B1.訪問準備」と「B2.顧客の取引ルールの確認」と「B3.顧客訪問」の3つに分けました。お客様に訪問するためには「どこのお客様に」「何のために訪問するのか」は明確にする必要があります。「B1 訪問準備」の下位のレベル3は、「B1.1顧客リストの整備」と「B1.2 顧客が使用している商品・サービスの確認項目」と「B1.3顧客情報(プロファイル)の作成」に分けました。

・B1.2 顧客リストの整備 : 営業スタイルは大きく分けて「狩猟型」と「農耕型」に分かれます。「狩猟型営業」とは、獲物(見込み客)を探して移動して狩りをするような営業スタイルです。多くの新規顧客にアプローチし、案件を獲得する営業スタイルです。売り込みから成約まで時間があまりかからないことが大きな特徴です。テレアポや飛び込み営業のような方法が狩猟型営業の典型です。一発勝負の傾向が強いスタイルです。
「農耕型営業」とは、市場や対象顧客を固定して、農作物を育てるように見込み客との関係を構築し、案件を獲得する営業スタイルです。農耕のように、土地を耕し、種をまき、水や肥料をやり、実れば収穫します。継続的な取引が特徴です。各々の営業スタイルに適した、業種や商材がありますが、BtoBセールスの多くは「農耕型」の営業スタイルです。
BtoBセールスの場合、基本的には、ユーザーリストとノンユーザーリストを対象顧客として営業活動をします。リストを地域や業種や規模などで分けて営業パーソンに振り分けます。営業パーソンは、そのリストの中から、どの企業に、どのように商談を進めていくかを考えます。訪問先を営業に一任すると、リストの中から「すぐに売り上げが上がりそうな企業」や「話し相手になってくれる人がいる企業」に訪問が集中してしまい、新規の取引先が生まれにくい状況になります。
顧客リストは、企業にとっては、売り上げを挙げていくための貴重な財産です。企業や組織の優先順位の意思を持った営業活動が必要です。顧客リストを、「売上金額の大小(大手ユーザーからノンユーザー)」と「企業規模の大小(購買力のポテンシャル)」のマトリックスで分類することが最も一般的です。顧客戦略の一例として、①企業規模も大きくて売り上げの大きいユーザーに対しては、グループ全体を大手担当チームで営業する。②大手企業は、1人5社から10社ぐらいを営業力のある営業パーソンが担当する。③ミドル規模の企業は、中堅社員が担当する。④それ以外のユーザーは、行動力のある若手社員が、多くの企業を担当する。⑤ノンユーザーの大手企業に対しては、ノンユーザー専門のチームを作る。⑥ノンユーザーで、規模が大きくない企業に対しては、メールやDMや電話での営業活動を中心に行い、見込み客になれば、③か④の営業チームが担当する。そしてそれぞれの役割分担に対応した、売上目標を割り当てます。顧客への訪問の選別を、営業パーソンに任せた場合、どうしても、行きやすいところを訪問します。将来的な売り上げを考えたときには、組織として戦略な顧客リストの整備が必要になります。

・B1.2 顧客が使用している商品・サービスの確認項目 : 営業活動は、初回訪問から調査活動に進みます。お客様の問題・課題を調査して、提案につなげます。最終的には契約をすることが目標です。調査と提案をする以前に、業種や商材に応じて、最低限「これだけのことは知らないと」提案活動に進むことができないない項目があります。それを組織として明確にしておきます。研修では、「皆様の営業を進めていくうえで、これだけは知らなければならない項目は何がありますか?」と聞くことがあります。様々な意見が出ますが、組織として項目を共通化していることは案外と少ないです。業績の良い営業パーソンは、なにが必要な情報なのかが明確になっています。ですから、不明な項目は初回訪問した時に確認し、直ぐに次の「問題・課題を明確にする活動」に進みます。効率の良い商談活動を行います。例えば、複写機のノンユ―ザーであれば、どこの複写機を、どこの会社から、何時ぐらいから、どれぐらいの使用量で、契約形態はなにで、費用はぐらいかは知っていないと商談には進めません。保険でも車でも製造機械でもシステム製品でも、その商品サービスに対応した情報が必要です。販売しようとしている「もの」に対応している情報です。

・顧客情報(プロファイル)の作成 : 顧客の企業情報と上記「確認項目」が、組織の中にデータとしてあればそれをまとめます。情報が変わっていることもありますから、その点は確認が必要です。企業情報は、「企業名、資本金、住所、業種、従業員数、拠点数、売上、利益」などです。前職の会社はそれらを「静態情報」と表現していました。それと「人、もの、お金、時期」などもまとめます。それらを「動態情報」と表現していました。それらの項目も営業活動で確認します。「もの」に関する情報は「B1.2 顧客が使用している商品・サービスの確認項目」で明確にしています。「人、お金、時期」などはお客様の組織上のルールに関することであり、商談を進めるうえで、必ず押さえておかなければならない項目です。重要な項目ですので「B2. 顧客の取引ルールの確認」に分けてあります。それらの情報も確認出来たら全て顧客情報(プロファイル)にまとめます。まとめるための確認項目や帳票は組織で決めます。組織として継続的に顧客情報(プロファイル)を更新していれば、毎回1から作成する手間が削減されます。顧客情報(プロファイル)は組織として、貴重な情報資産です。その時の営業活動でも有効ですが、営業担当者の移動などで変更になるときの引き継ぎ書としても使えます。

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