BtoBセールスの原理原則11「B.接触活動 (Contact)」-「B3. 顧客訪問」

「B.接触活動」は、お客様に訪問するための具体的な準備とファーストコンタクトのフェーズです。コロナの影響で、リモート営業やインサイドセールスの比率が増えていましたが、近年は、コロナが収束してきたこともあり「対面営業」と「リモート営業」を組み合わせた「ハイブリット営業」と言われるスタイルの営業が増えてきました。詳細な説明や契約の時は対面で、簡単な打ち合わせや確認の時にはリモートでの対応を希望するお客様が増えてきました。
「B3. 顧客訪問」は、お客様に直接コンタクトを取り、訪問するフェーズです。「B3. 顧客訪問」の下位のレベル3は、「B3.1 コンタクト先の選定」と「B3.2アポイントの取得」と「B3.3 初回訪問」に分けました。

・B3.1 コンタクト先の選定 : 以前の営業活動では、お客様先に、アポイントをとらないでいきなり訪問する営業スタイルもありましたが、今は、セキュリティやコロナの問題もあり、アポイントは必須になりました。昔は、朝は清涼飲料の販売の方や、夕方は、生保の営業の方がオフィスにいました。今ではそんな光景はなくなりました。
引継ぎのコンタクトであれば、前任の営業の人に訪問先やアポイントを任せることもできますが、そうでない場合は、自分でコンタクト先とコンタクトの日程とコンタクトの目的を決める必要があります。リストからコンタクト先の選定をします。①コンタクト予定日(When)、②コンタクト企業、コンタクト部署(Where)、③コンタクトする人と役職 、(Who)④コンタクトの目的(Why)は、文書化まではしなくても、頭の中では整理しておく必要があります。

・B3.2 アポイントの取得 : いきなりの顧客訪問はありえませんから、最初は、アポイントが必須です。法人相手のビジネスの場合、継続的な取引が主流ですから、そのためにも早い段階で、お客様の担当者には直接面談しておくことが望ましいです。
近年、脳科学の発達により、脳の働きが科学的に解明されてきました。「ミラーニューロン」が注目されています。「ミラーニューロン」とは、鏡を見ているかのように、他の個体の行動を見て、自分自身までも同じ行動をとっているかのように反応をする、高等動物の脳内の神経細胞を指します。この細胞は自分がなにか行動をするときだけでなく、他者がする行動を見たときにも活性化することが分かっています。例えは、悲しい映画を見て涙したり、スポーツなどを見て興奮したりするのは「ミラーニューロン」の働きだと言われています。他の人に共感の気持ちを持つのも、「ミラーニューロン」の働きだと言われています。「共感神経細胞」ともいわれます。「ミラーニューロン」は、直接、人と会うことで活性化します。つまり営業活動においても、早い段階に一度は直接、面談しておいた方が、営業パーソンへの共感の気持ちが生まれやすいです。
最初にお客様に電話をしたときには、お客様の頭の中には、①どこの誰なのか?②何の用事なのか?③なぜ話を聞く必要があるのか?の疑問が生まれます。その疑問を解消する必要があります。①まずは会社名と名前と簡単な自己紹介になます。②次に電話をした目的。例えば、「新任の担当としての挨拶と名刺交換のお願い」③会っていただくための説明も必要です。「今までのお取引内容のご説明」や「フェアーや展示会のご案内」や「新製品のご紹介」や「他社の改善事例のご紹介」や「今後お役に立つ提案をしたいので、いくつか教えていただきたい。」など様々です。電話をする前に、「トークスクリプト(話す脚本)」を作成しておいた方が、スムーズに会話できます。初回の電話の一番の目的は、早めにお客様と面談する為のアポイントを取得することです。

・B3.3 初回訪問 : 初回訪問の目的は、①担当営業としてお客様に認識してもらう、②今後の商談を進めていくうえで必要な情報の不明点を確認する、③自社にとって役立ちそうな「営業パーソン」だと思ってもらう、④好感をもってもらう。などです。初回訪問の標準的なプロセスは以下になります。
営業パーソンは、アポイントが取れたお客様に訪問します。アポイントの時にお客様に約束した、たとえば「他社の事例」や「商品の新しい機能」は説明する必要があります。資料は、会社が準備しものか、個人で作成した「アプローチブック」などを使用します。アプローチブックの内容は、共通で使えるような改善事例や新商品の特長などを分かりやすく説明できるようにしておきます。
営業経験の少ない営業パーソンは、ロールプレーで練習しておくと、初回訪問の時に緊張しないで会話を進められます。ベテラン営業パーソンかOJTを行います。お客様にアポイントが取れ訪問した時は、面談者は、忙しい仕事の中、あなたのために時間を割いてくれています。面談した時間が無駄だとお客様に思われたら、その後の営業活動は難しくなります。
面談していただいたお礼を述べます。訪問の目的を伝え、面談可能な時間を確認して、質問することの許可を取ります。初回訪問の一般的な手順は以下のようになります。①挨拶と名刺交換「相手の目を見て明るく」名刺交換をします。例えば、「本日はお忙しい中、ご面談いただきありがとうございます。私は~~の○○と申します。どうぞよろしくお願いいたします。」②軽い話題(オープニング・トーク)で、場を和まします。例えば、簡単な自己紹介。③面談可能時間を確認します。例えば「お時間はどれぐらいいただけるでしょうか?」「御時間を30分ほどちょうだいしてよろしいでしょうか?」。④訪問目的を伝える。電話で約束した内容を説明する。例えば、「本日は、弊社の改善事例をご説明させていただきたいと思っています。」「新しく担当させていただくことになりましたので、ご挨拶にお伺いいたしました。」⑤質問の同意を得る。例えば、「今後、御社のお役に立ちてるご提案をしたいと考えていますので、いくつかお教えいただけないでしょうか?」⑥次回の訪問日や今後の進め方の許可を取る。例えば、「今日教えていただいたことを一度整理いたします。また分からないことがあけば、お教えください。」や「次回は、弊社で今後お役に立てそうなことがないか考えてまいります。」⑦お礼を伝える。面談終了時にお礼を言うのは当然ですが、帰社後に、メールで、面談していただいたことのお礼と今後の思いを顧客に伝える。例えば、「本日はお忙しい中、貴重な御時間をいただき誠にありがとうございます。おかげで御社の状況が少しは理解できました。私は御社のお役にたてる営業になりたいと思っています。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。」簡単でも良いので必ず顧客にお礼の気持ちを伝えます。こうした礼儀は、好感を持っていただくための最低限の礼儀です。
心理学では、以下の6つの要因で好感を持もたれるバイアス(bias)が生じると言われています。「バイアス」とは「偏(かたよ)りを生じさせるもの」です。思いこみ、傾向、偏向、先入観を意味します。①近接性バイアスとは、日常的に物理的な距離が近く直接対面で接する時間が長いほど、その相手に好意的に感じる。② 類似性バイアスとは、自分と似ている人を高く評価する傾向のことです。出身、経験、趣味など、自分と似ていると感じる部分があると好感を持ちます。③「相補性バイアス」とは、自分が持っていない能力(部分)を持っている人に好意を感じることです。④「熟知性バイアス」とは、ザイアンスの法則とも呼ばれ、相手のことを知れば知るほど魅力を感じることを指します。⑤「返報性バイアス」は、何かをしてもらったらお返しをしたくなることを指します。自社に有用な情報をくれる営業パーソンは好感を持たれます。⑥「身体的魅力バイアス」とは、その人の「見た目」の魅力のことを指します。ヨレヨレの服を着ている人よりも、清潔感のある人の方が信頼できそうだと感じます。まずは自己開示していくことが良い方法です。

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